優勝校の京大も取材! 若者の熱気があふれるピットエリア:車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2013(3)(2/3 ページ)
学生フォーミュラレポート、最終回である今回は、80校を超える参加校のテントが並び、若者の熱気があふれるピットエリアでのインタビューをお伝えする。
上智大学
上智大学「SOPHIA RACING」チームリーダー&ドライバーの藤本哲也(以下F)さんにお聞きしました。
S いやぁ……。残念だったね……。車好き中年オヤジはうるうるしちゃったよ。
F 残り2周で止まっちゃいました。詳細の原因はまだ分かっていませんが、電装系です。
S あの驚異的なラップタイム、素晴らしい走りでした。まさに筋書きのないドラマと言おうか……。
F ありがとうございます。完走してチームの総合優勝に貢献したかったです。
S 藤本さんは今年で最後の参戦かな?
F はい、ですからこういう結果も後輩たちの今後の活動に火を点けるものだと思っています。私たちの魂を伝えたつもりです。
S あの激走はみんなの脳裏に間違いなく焼き付いたよ。では、マシンの話を聞かせてください。エンジンは?
F ヤマハ「WR450F」です。
S 昨年までは4気筒エンジンだったよね?やはり単気筒エンジンの方が有利なのかな?
F はい、日本国内のコースでは確実に単気筒エンジンの出力特性と軽量さが有利だと思います。
S F1のDRS(Drag Reduction System:ダウンフォースを軽減するシステム)のようなこの可変リアウィング、実況の方も他チームのウィングについては辛口だったのに、このマシンでは評価していたよね。
F 車速と加速度をパラメーターとして演算、適切な角度になるようにサーボモーター駆動しています。当然重量増にはなりますが、このウィングから得られるダウンフォースの効果の方がはるかに大きいのです。
S ドライビングも相当に練習した?
F 私は運転して文句を言うだけなので(笑)
S まるでレーシングドライバーだね!
F 実は来週も富士スピードウェイでレースがあるんです。市販車ベースですけど。
S 本当に車が大好きなんだね! 私も車・バイクを40年近く楽しんでいるけど、最近大学生があまり車に乗らないので残念に感じています。「なんでこんな楽しいものに乗らないんだ?」って不思議に思ってるんだけど。
F そうですね! その楽しさを知っているものからすると不思議ですよね。
S でも、学生フォーミュラの会場に来て、藤本さんのような若者と話していると、「まだまだ車好きの若者は多いぞ!」と感じ、元気になるね。ありがとうございました。
F ありがとうございました!
大阪大学
大阪大学「OFRAC」チームリーダーの佐藤俊明(以下TS)さんにお聞きしました。
S 京都大学とのし烈な争いだね。今時点で総合優勝の確率は?(インタビュー時点ではまだ結果が出ていなかった)
TS 半々と言うところでしょうか……。
S 今年のマシンの特徴を教えてください。
TS 昨年のマシンの進化と言うよりも、フルモデルチェンジと言っていいと思います。やはり前後の大きなウィング(第2回参照)ですね。さまざまなことにチャレンジして、チームメンバー全員がエンジニアとして成長するというのがわれわれの活動目的なので。
S そこ、ブレないよね! 昨年、一昨年とリーダーさんが同じこと言うもの。「このパーツをこう変えたことはラップタイムゼロコンマ何秒に寄与するって」ね。実況でも「大阪大学はしつこくデータを取ってる」なんて言われてたようだけど。
TS 理論的な車造りをしたいのです。そのためにはデータ取りは重要です。
S 実況では「テールウィングの重さに負けてロールが大きい、サスセッティングを見直した方がいいのでは?」と評されていたけど。
TS サスセッティングは他のウィング装着車と比べると柔らか目かもしれません。基本的にサスを積極的に動かした方がメカニカルグリップが上がるという考えです。
S エンジンは伝統のカワサキだよね! カウルデザインも美しいし、可変吸気システムも継承されている。
TS 今年は悲願のデザイン審査1位を受賞できました。エンジニアとして誇りに思います。そして実走行でのパフォーマンスも高められたと思っています。繰り返しになりますが、メンバーがエンジニアとして成長してくれたのがとてもうれしいです。
S 素晴らしい! 実況では「遅くて悔しくないのか!」って応援されていたよね。
TS はい、今年も速さでもトップを争うことが出来ました。
S やっぱりマシンが美しいよね。その美しさは機能からきていて、その機能はロジカルな設計思想からくる。結果高いパフォーマンスを発揮する。やっぱり「速いマシンは美しい」んだよね! ありがとうございました。
TS ありがとうございました!
結果わずかな差で大阪大学は総合2位になりましたが、表彰台常連校は来年もロジカルなマシン開発で上位争いをしてくれることでしょう。
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