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サプライチェーン上の「違法なIT」の問題にどうやって立ち向かえばいいのか法律家が見るサプライチェーンの知財侵害リスク(3)(1/3 ページ)

法律・知財の専門家が製造業のグローバルサプライチェーンに潜む課題と対策について解説する本連載。第3回では、サプライチェーン上の「違法なIT」の問題にどういう対策で取り組めばいいのかを、解説します。

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 サプライチェーンのグローバル化に伴う、法規制・知財面でのリスクを紹介する本連載。第2回「販売差し止めの実力行使も!? ――サプライチェーンを狙い撃つ米国違法IT規制」では、製造過程における「違法なIT」(違法ソフトウェア・ハードウェア)の問題について紹介しました。

 第3回となる今回は、これらの「違法なIT」に対し、企業はどういう対応をすべきか、またどういうIT戦略を構築すべきかということを、新日本有限責任監査法人の筆者陣が解説します。




なぜ企業はCSRに取り組まないとだめなのか

 企業は、株主などのステークホルダーや従業員のための利益を追求しており、研究開発、設計、製造技術、技術企画、調達やこれらの管理部門に在籍しているモノづくりスペシャリストに求められるのは、従来では利潤を中心とした下記1〜3の3項目のみでした。しかし、21世紀になり利益以外の下記4の「社会貢献(社会的責任)」が1つ増えて4項目となってきたと言えそうです。

  1. 性能
  2. コスト
  3. 機能や利便性
  4. 社会貢献(社会的責任)

 この社会貢献(社会的責任)については、製品の使用、製造における配慮、などにおいて、「環境対応」として、製造企業側で取り組みは定着してきました。また、NGOやNPOなどの人権保護団体の活動も活発化してきており、企業の社会的責任は「CSR(Corporate Social Responsibility)」として評価を受けるようになってきています。一方で、社会的責任を果たせない企業はいわゆる“ブラック企業”として、風評(レピュテーション)リスクが発生し、業績にも影響するほどになっています。

 さらに、昨今は製品サイクルが短くなり、製品の性能だけでは大きな差別化が困難となってきています。そのため「社会的責任」を差別化につなげるポイントとして、積極的に取り組む企業まで出ているほどです(図1)。

モノづくり
図1:モノづくりに求められるもの(クリックで拡大)

社会的責任はグローバルサプライチェーンに影響

 社会的責任としては、2010年7月に米国の金融規制改革法(通称:ドッド・フランク法)が制定され、製造業の製品に対しても、反政府勢力の資金源となってしまうような紛争鉱物(Conflict Mineral)を使用しないことが求められるようになりました(関連記事:「“誤表示”では済みません」米国紛争鉱物規制対応ソリューションをPTCが発表)。この法律では、サプライチェーン全般に渡る調査やガバナンス状況の開示、紛争鉱物報告書の監査などが要求されています。

 ここで注目すべきなのは、前述の社会貢献に対しては、企業内だけでなく、企業外となるサプライチェーン全体に対してもガバナンスが求められるようなったということです。

 また、現状では、製造拠点のグローバル化に伴い現地の安価な部品などを調達して製品を製造することは当たり前のことになっています。その中で「グローバル調達」が製造業の通常活動となっており、グローバルサプライチェーンに関しても企業側が社会的責任を負うことが求められ始めています。

 自社内や関連会社までのガバナンスの経験のある大手企業であっても、グローバルなサプライチェーンのガバナンスを行うことは決して簡単なことではありません。実際にうまく運用できているのはまだ一部にとどまります。そのため多くの企業にとって、全社レベルでの新たなチャレンジとなっています。

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