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それは車輪の再発明――希望の輝きを放つ自転車、「FUKUSHIMA Wheel」が描く未来会津若松から世界へ(2/4 ページ)

福島県会津若松市に拠点を置くベンチャー企業、Eyes, JAPANは、自転車をビジネスモデルの中心に据えた一風変わったシステム「FUKUSHIMA Wheel」を開発し、世界進出を図ろうとしている。自転車をひとたび走らせれば、放射線量をはじめとするさまざまな環境データを収集し、LEDを搭載した後輪部分にはさまざまな広告やメッセージが表示される。本稿では、FUKUSHIMA Wheelの開発に込められた思いと、ビジネスの可能性について紹介する。

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なぜ、環境データなのか

 東京電力 福島第一原子力発電所の事故以来、放射線による汚染などの影響は、誰にとっても気掛かりな問題となった。目に見えない物質だけに不安を感じるのも当然のことだ。各都道府県の放射線モニタリングポストで放射線量は測定されているが、その数も限られており、スポット的に数値を確認できない。

 自分の住んでいる町内はどうなのか? その数値は本当に正しいのか? 「安全」と言っているが害はないのか? 不安が、疑心暗鬼へとつながり、風評被害を起こしている現実もある。

 こうした事態を身近に感じていたEyes, JAPAN 代表取締役の山寺純氏は、「これはもう、自分たちでデータを集めて情報発信していくしかないなと思ったんですよ」と語る。けれど、それを強制されたり、義務付けられたりするのは面白くない。だから、楽しみながら参加できる、参加する人がちょっと得するようなシステムを目指し、FUKUSHIMA Wheelを考案したという。

ハンドル
各種センサーからのデータは、Wi-Fiでハンドルに取り付けられたスマートフォンに送られ、通信回線を介してクラウド上へ送られる。スマートフォン側の専用アプリケーションにより、ナビゲーションを行ったり、運動量を計測したり、走行地域に応じたクーポンを発行したりできる

 システムのプラットフォームとなるのが自転車だ。発明から間もなく200年を迎えるとされる自転車は、世界全体で年間に1億台以上が製造されているという。これだけ普及している自転車にセンサーという付加価値を加え、さらにクラウドと連携させることで、世界中の環境データを“ビッグデータ”として集めることができるのではないか。山寺氏はこう考えた。そして、現在、山寺氏は行く先々でFUKUSHIMA Wheelを搭載した自転車に乗り、実証実験として環境データを集めている。

ハンドルにスマートフォン
ハンドルにスマートフォン、フレームにセンサーケースを装着。「商品化の際には、フレーム内にセンサーを納めたい」という
実証実験
これまでに、福島、神戸、ニューヨーク、バークレー、シリコンバレーなどで実証実験を行ってきた。データは「FUKUSHIMA Wheel」のWebサイトから閲覧が可能だ

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