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それは車輪の再発明――希望の輝きを放つ自転車、「FUKUSHIMA Wheel」が描く未来会津若松から世界へ(1/4 ページ)

福島県会津若松市に拠点を置くベンチャー企業、Eyes, JAPANは、自転車をビジネスモデルの中心に据えた一風変わったシステム「FUKUSHIMA Wheel」を開発し、世界進出を図ろうとしている。自転車をひとたび走らせれば、放射線量をはじめとするさまざまな環境データを収集し、LEDを搭載した後輪部分にはさまざまな広告やメッセージが表示される。本稿では、FUKUSHIMA Wheelの開発に込められた思いと、ビジネスの可能性について紹介する。

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FUKUSHIMA Wheel

 自転車のペダルを漕ぐと、後輪のスポーク部分に搭載されたLEDが鮮やかに点灯し、カラフルな文字やイラストが表示される。「うわぁ、キレイ! 楽しそう」――。「国際フロンティア産業メッセ2013」(会期:2013年9月5〜6日)の取材をしていた筆者が思わず足を止めたのが、福島県会津若松市に拠点を置くベンチャー企業、Eyes, JAPAN(アイズジャパン)のブースだった。

 自転車に搭載されていたのは、「FUKUSHIMA Wheel」と呼ばれるシステムだ。FUKUSHIMA Wheelは、復興庁の「平成25年度 企業連携プロジェクト支援事業」に採択されたプロジェクトであり、自転車を活用した観光・環境データの提供、車輪型広告事業を目的として開発している。

FUKUSHIMA Wheel
「FUKUSHIMA Wheel」とEyes, JAPAN 代表取締役の山寺純氏。「国際フロンティア産業メッセ2013」にて撮影

 このFUKUSHIMA Wheelは、海外展開を目指す日本企業のWebサービスなどを紹介するピッチイベント「第6回 SF Japan Night(サンフランシスコ ジャパンナイト)」にもエントリーし、2013年10月5日に東京で開催された国内予選を勝ち抜いて本戦に進出。同年11月7日に開催された米国サンフランシスコでの本戦では、サンフランシスコやシリコンバレーの起業家、ベンチャーキャピタル、報道陣など約300人に向けて、FUKUSHIMA Wheelをアピールした。結果は第3位。自転車をプラットフォームとした現実の世界とWebサービスの世界をテクノロジーで融合させたビジネスモデルが高く評価されてのことだ。

 本稿では、FUKUSHIMA Wheelの開発に込められた思いと、将来のビジネス展望・可能性について紹介する。



自転車を走らせ、ビッグデータを集める「FUKUSHIMA Wheel」

 FUKUSHIMA Wheelを搭載した自転車の後輪(のスポーク)部分には、32個のLEDが並んだ基板4枚が十字に配置されている。ペダルを漕ぐとLEDが点灯し、その残像でメッセージやイラストを描く仕掛けである。夜間であれば、その存在感に見とれてしまうほどだ。ホイールの狭間にはバッテリーが搭載されており、約3時間の充電で7〜8時間LEDを点灯させられるという。LEDの残像で描くメッセージやイラストは、ユーザーが任意に変更できるよう、現在、iOS向けアプリケーションを開発中だ。

ホイール夜間 (左)LEDを搭載した基板が取り付けられたホイール。ユーザーが好きなメッセージやイラストを表示できる/(右)夜間はかなり派手に光る。夜道での安全確保にも役立ちそうだ ※画像クリックで拡大表示

実証実験
会津若松市に拠点を置くEyes, JAPANの近くにある鶴ヶ城城址公園で行われた実証実験の様子。LEDが明るく光り、花見客の注目を集めていた(※提供:Eyes, JAPAN)

 後輪のLEDによる演出は、FUKUSHIMA Wheelをある種のディスプレイとして捉え、人に注目してもらい、目で見て、楽しんでもらうための仕掛けにすぎない。システム本来の価値は、自転車のフレーム部分に取り付けられているケースの中にある。

bGeigie Nano kit
各種センサーが搭載された計測器。セーフキャストが開発した放射線測定器「bGeigie Nano kit」をベースに、Eyes, JAPANでセンサーを追加した

 そう、165×105×60mmのケース内には、「放射線センサー」「窒素化合物センサー」「一酸化炭素センサー」「気温センサー」「湿度センサー」が搭載されているのだ。これらセンサーで取得した環境データは、Wi-Fiでスマートフォンに送られ、通信回線を介してクラウド上に集約される。

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