「速いマシンは美しい」――エンデュランスで見たこだわりの学生フォーミュラカー:車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2013(1)(2/3 ページ)
直線、ターン、スラローム……周回路の耐久走行審査「エンデュランス」を走行した学生たちのフォーミュラカーを紹介する。エアロパーツ、エンジン選定やレイアウト、素材などこだわりポイントはそれぞれだ。
名古屋大学(No.4)
ホワイトのオーソドックスなカウルは名古屋大学フォーミュラチームの伝統。昨年追加された大きなカーボン製のテールウィングに加え、フロントウィングも加えられた今年のマシンFEM-09はホンダCBR600RRの4気筒エンジンを搭載。タイヤは多くのチームが「Hoosier」(フージャー)を履く中、「Continental」のロープロファイルタイヤを装着しているのも特徴です。
走りに派手さはないものの、二人のドライバーは着実にラップを重ねます。途中エンジンから液体を洩下させましたが、オイルでも冷却水でもなく、多分完全燃焼しているがための水だと思われます。エンデュランスの順位は12位でしたが前日までの競技での好成績で昨年と同じ総合4位! おめでとうございます!
京都工芸繊維大学(No.1)
昨年の覇者、栄光のNo.1を背負う京都工芸繊維大学のマシン「GDF-08」は、昨年のフロントカウルだけからサイドポンツーンを追加、着実に進化しています。エンジンはスズキ「LTR-450」。日本大会のレイアウトだと、低速にピックアップがよい単気筒エンジンが向いていると思われますが、ドライバー交代時の熱関再始動のリスクが伴います。そのあたりの燃料マッピングもこの大会の重要要素となります。
10インチと小さ目のホイールを前後ダブルウィッシュボーン・プッシュロッドサスペンションで支える「GDF-08」は1分6秒台というそれまでのファステストラップを叩き出し、パイロンタッチもゼロという素晴らしい走行で完走。エンデュランスでは3位、総合5位の成績でした。連覇はなりませんでしたが、シングルゼッケンキープはさすがです!
同志社大学(No.3)
NHK大河ドラマ「八重の桜」で旬な同志社大学のマシン「DF13」は、カワサキ「ZX6-R」の並列4気筒エンジンを搭載。「13インチのRSワタナベ」という50歳代の車好きにはたまらないホイール! そういえば、社会人になりたての頃、無理して新車で買ったホンダシビックCX-Sに履かせたくて仕方なかったけどお金がなかったんだよなぁ……。さてさて、そんなホイールを、前プルロッド、リアプッシュロッドのサスペンションで支えています。
1人目のドライバーが1分10秒台、二人目が6秒台と大きな差があるのはドライビングスキルの要素もありますが、「乗りやすさ」という要素も大きいのです。スキルフルなドライバーが速く走れるマシンを作るのか、それともタイムをそろえるのか、各チームの戦略が分かれるところです。
成績はパイロンタッチ1回だけというきれいな走りでエンデュランス6位、総合で昨年と同じ3位となりました。来年は再度No.3のゼッケンを携えて、トップを狙いに行くことでしょう!
横浜国立大学(No.21)
今年の横浜国立大学のマシン「YNFP-13」はトレッド幅が広い!
10インチのホイール径もあいまって地をはうようなフォルムです。このエンデュランス競技だけでなく、他の動的審査(=走行競技)のコースレイアウトから、「トレッド幅は狭い方が有利」という考え方で、多くのチームが「ホイールベース1525mm以上、トレッド幅はその75%以上」というレギュレーションに合わせ、トレッド幅を1150mmに合わせてくる中、ホイールベースはそのままに1270mmというワイドトレッド幅を採用したのは、まさにエポックメイキング。カウルのフィニッシュも相当に高いレベルです。「CBR600RR」のエンジンを縦置きにしたプロペラシャフト・ダイレクトドライブというレイアウトもこのチームの特徴です。
「速いマシンは美しい」の言葉通り、エンデュランスの成績は5位、総合で6位に入りました! エンデュランス競技直前でのトラブルで出走できなかった昨年の悔しさを晴らすことができたことでしょう。おめでとうございます!
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