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期待の「新・新興国」、ミャンマーとカンボジアの最新クルマ事情和田憲一郎の電動化新時代!(番外編)(2/3 ページ)

従来、東南アジア諸国連合(ASEAN、アセアン)の10カ国のうち、タイ、ベトナム、インドネシアなどが話題となることが多かったが、最近はミャンマーやカンボジアにも熱い視線が注がれている。「新・新興国」と呼ばれるミャンマーとカンボジアのクルマ事情を、「電動化新時代!」の番外編として和田氏がリポートする。

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中古の日本製バスと乗り合いトラック

 中古の日本製バスが多く利用されているが、かつ日本で利用されていた際の「○○交通」や「△△バス」などの社名ロゴをそのままにしている場合がほとんど。現地の方に聞いてみると、日本の文字を残しておく方が、ブランド価値になることもあるとのこと。なお、最近では昇降口の関係から韓国製の左ハンドルバスの輸入が多いようである。これだと、昇降口は歩道側となり使い勝手が良くなる。

 あまり交通機関が発達していないせいか、ピックアップトラックを改造した乗り合いトラックも多く見掛けた。トラックの荷台だけでは人が乗り切らず、荷台の後端にステップを設けて、そこにつかまりながら乗っている人も多い。よく見ていると、一番後ろの荷台につかまりながら、人数や行先を差配しているガイドもいるようだ。

ヤンゴンでは一般的な乗り合いトラック
ヤンゴンでは一般的な乗り合いトラック
夕刻になるとヤンゴン市内ではこんな移動も
夕刻になるとヤンゴン市内ではこんな移動も

 2011年までは、バス・トラック・乗用車などの輸入制限が掛けられていたこともあり、古いクルマがまだ多数走っている。私が見掛けた中で最も古いと思われたのは、1960年代に製造された日野自動車の「コンマース」ではないだろうか。製造から50年を過ぎても現役として活躍している。当時を知っている人からみれば、懐かしく思えるだろう。

1960年代製造の日野コンマースであろうか。まだ現役の様子
1960年代製造の日野コンマースであろうか。まだ現役の様子

日本製の中古乗用車が急増

 ミャンマー、特にヤンゴンで特徴的なことが2つある。1つは、2011年春に「2007年以降製造のクルマであれば輸入解禁」となったことから、多くの日本製中古車が流入していること。そのため、2011年に28万台だった車両販売台数が、2012年には40万台まで急増した。もう1つが、ヤンゴン市内でのバイク禁止である。アジアの主要都市で見られるバイクとクルマが混在したような状況はここでは見られない。なお、郊外ではバイクの運転が認められているようだ。

急激に日本製中古車が増えたヤンゴン市内
急激に日本製中古車が増えたヤンゴン市内

 また、タクシーの数も急激に増加したようである。2011年の約6000台から、2012年には約1万5000台と規模が大幅に拡大している。日本のようにセダンタイプの車両ではなく、後ろに荷物が積めるように業務用のバンタイプの車両を使うタクシーが圧倒的に多い。

 さらに、ほとんどのクルマは窓を開けて走っている。これは、エアコンを入れると燃費が落ちるので、特別の事情がない限りそのようにしているとのこと。かなり暑い国ではあるが、クルマやガソリンが高価なこともあってそういった慣習になっているようだ。

 軍事政権下で規制されていたこともあり、自動車産業そのものはほとんどないに等しい。スズキが組み立て工場を建設し、2013年5月から小型トラックの少量生産を開始した程度だ。自動車部品メーカーもまだほとんど進出していないが、東西回廊などの高速道路が整備されると、タイとミャンマーの国境沿いのミャンマー側に、労働賃金の格差などを利用した労働集約型の企業が数多く進出するのではないかと予想されている。

 ヤンゴンから南に下ったティラワ港では、数多くの日本製中古車が陸揚げされており、隣接するティラワ工業団地も注目されているようだ。なお、最近の報道によれば、日産自動車が提携先のタンチョン・モーターに委託する形で、2015年からミャンマーで「サニー」の生産を年間1万台規模で始めるという。ミャンマーでも、自動車産業が本格的な立ち上がりの様相を見せ始めている。

ティラワ港に陸揚げされた日本製中古車
ティラワ港に陸揚げされた日本製中古車

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