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これがFablabスタイル! 世界中の人たちによるワイガヤモノづくりキャンプ「Fab9」世界Fablab代表者会議Fab9レポ【後編】(4/4 ページ)

2013年8月21〜27日の7日間、世界のFablab運営者(Fablabマスター)が集まる「第9回 Fablab代表者会議(Fab9)」が、横浜で開催された。今回は、「会議」というか「キャンプ」といった雰囲気の同イベントの内容をお伝えする。

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Super Fablabにて夜を徹して行われる楽器作り

 会場では、Fab9のために用意された「Super Fablab」が24時間稼働している。3Dプリンタ、レーザーカッター、日本に数台しかない木工用巨大CNCマシン「Shopbot」などの工作機械が用意されている。


Super Fablabとなった北仲ブリック

広い作業スペースと工作機械

会期中に作られたイスと机

「花や植物のような、歯車でない形をした歯車を作りたかった」台北からの参加者

 また、会場にはナカダイ・モノファクトリーより提供された大量の廃棄物が持ち込まれている。Fab9最終日には廃棄物を使った自作楽器による演奏会「World Fab Cup」が行われるため、そこに向けた楽器作りを行う参加者も多い。


ナカダイさん提供の廃棄物 これが楽器に加工される

サーボモーターにより信号機が「ドカン・ドカン」と開閉してバスドラムのような音を奏でる

タイプライターのキーで空き缶をたたいてリズムを奏でる

「これがサンタギターだ!」サンタクロースの看板を使ったギター

そして音楽で終わる――「world fab cup」

 最終日には廃棄物を使って作った楽器を使った演奏大会「world fab cup」が行われた。「The Open (Re)Source Jazz Orchestra」と題して、サンタクロースの彫像、木箱、カッティングマシン、ゲームコントローラー、果ては信号機やエアーコンプレッサーなど、さまざまなものを楽器に改造したチームがバンドを組んで演奏する。

 まさに「作る」と「楽しむ」が融合した空間だ。

チーム Crazy Russianの演奏風景 ゲームコントローラー、信号機、分解されたラジカセなどが楽器に変わる

優勝した「UMAMI」チーム。オランダ、ノルウェー、日本などの混成チーム

 そして最後に再び、初日にも演奏した宇田氏の「ウダー」が演奏されてフィナーレとなった。

 象徴的だったのがこの「ウダー」の演奏後。Fabマスターたちからウダーについての質問が飛び、全員が楽器の細かいところを見るために宇田氏を取り囲む。


宇田氏を取り囲んでウダーに興味津々

 Fab9は最後まで、「作る」ことを「楽しみ」、オープンに知識をシェアしあう空間になった。違った文化を持った人たちが同じ会場に集まり、頭も手も動かして、グループで共通のテーマに取り組む。

 それぞれのFablabがグループを大きくする方法、プロジェクトを進める方法、技術を進化させる方法に楽しみながら取り組み、成果をシェアすることで、Fablabのネットワークはますます大きくなっている。経済の改善も社会に向けた取り組みも、エンターテイメントも教育も、一体となって「作る」と「楽しむ」が進化している。

会期を通じて、全体に形容しがたい熱気が満ちていた。インターネットの黎明期のように、全体の様子を誰も分からないままムーブメントが加速し、普及率だけが上がっていった「熱の時代」と似た雰囲気だ。参加者全員から、「Fabが普及して、さらに多くのものが作られていくと、世界はもっと楽しくなっていく」という熱気を感じた。

 次回バルセロナで行われるFab10は既に準備が始まってると聞いた。10年にわたるFablabの歴史があり、街全体でFablabに取り組んでいるバルセロナでのFab10では、さらに進化・多様化したFablabのプロジェクトが発表されるのが、僕は楽しみで仕方ない。

Profile

高須正和(たかす まさかず):@tks

ウルトラテクノロジスト集団チームラボニコニコ学会β実行委員。趣味モノづくりサークル「チームラボMAKE部」の発起人。未来を感じるものが好きで、さまざまなテクノロジー/サイエンス系イベントに出没。無駄に元気です。

筆者からのお知らせ

「Maker Faire Tokyo 2013」(会期:2013年11月3〜4日には、「チームラボMAKE部」として出展します。会場でお会いしましょう!



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