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「Chromecast」とは何か? 世界で動き出したドングルPCビジネス【短期集中連載】ドングルPCが実現するスマート社会(2)(2/3 ページ)

2013年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2013」では、ドングルPCの扱いは非常に小さなものだった。まさかそれが、たった一夜にして世界中の注目の的になろうとは――。Google(グーグル)が同年7月のプレスイベントで発表した新製品「Chromecast(クロームキャスト)」。なぜ、GoogleはChromecastを市場に投入したのか。本稿でその狙いと、Chromecastが開くドングルPCの未来について解説する。

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なぜGoogle Cast SDKを公開するのか

 Chromecastで動画を転送するためにGoogle Castというプロトコルが使われていますが、そのSDK(Software Development Kit)が提供されています(図3)。

 SDKを利用すれば、どんな機器からもChromecastへの動画転送が可能になります。iOSのアプリケーションにも適用できますから、アプリケーションレベルとはいえ、iPhoneであろうがiPadであろうが、Chromecastに動画を転送する道が提供されたことになります。iOSといえば、「AirPlay」をサポートしたAV機器が増えていますが、そのような機器にはさらにGoogle Castもサポートされていくでしょう。


Google Cast
図3 「Google Cast」。GoogleによるGoogle Castのイメージ

動画が取得できませんでした
Chromecast:For Bigger Fun.

 Googleは、なぜそのような形でSDKを提供するのでしょう。それは、「全てを破壊する」と称されるGoogleのビジネス戦略に基づく行いだといえます。

 ネットワーク家電の主な相互接続規格は数多く存在します(表1)。歴史のある「DLNA(Digital Living Network Alliance)」をはじめ、AppleのAirPlayが人気を集めています。また、Wi-Fi Allianceが定めている「Miracast(ミラキャスト)」という規格も普及が見込まれています。

規格 策定者 特徴
DLNA Digital Living Network Alliance ・歴史が長い
・参画企業が多い
・uPnP(Universal Plug and Play)などと共通仕様部分を持つ
Miracast Wi-Fi Alliance ・1対1の無線通信によるディスプレイ伝送技術
・AirPleyのミラーリングのオープンな代替という位置付け
AirPlay Apple ・Appleによる独自仕様
・iOS製品に採用されているため、AV機器の採用が多い
Google Cast Google ・Googleによる独自仕様
・SDKを提供。iOSを含む任意のクライアントでGoogle Castの対応が可能に
表1 ネットワーク家電の主な相互接続規格

 Appleのような強い推進力を持つ企業は、競合製品との差別化のためにこういった技術を独自に開発します。Appleほどではないにしても、ある技術のイニシアチブを取りたいという企業は数社が結託して1つの仕様を定め、「標準」という御旗をもって普及させようとします。そのような技術において覇権を取ること自体は、Googleの本質的な興味ではありません。しかし、自分たちのビジネスが変に制限されたりすることを、Googleはかなり嫌ってきました。そして、そういった可能性が懸念されるとき、Googleはその潤沢な資金力をもって、無料のサービスを投入するなどしてビジネスそのものを無力化、すなわち「破壊」してきたのです。

 Google Castはそのような目的をもって世に送り出された技術であり、その先兵がChromecastであったと考えられます。

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