ADIが日本国内での車載展開を加速、2018年には売上高比率を倍増の20%へ:車載半導体
アナログIC大手のAnalog Devices(ADI)が、日本国内での車載展開を加速させる。現在、日本国内の売上高のうち車載事業が占める比率は10%だが、2018年には倍増の20%まで伸ばしたい考えだ。
アナログIC大手のAnalog Devices(ADI)は2013年8月26日、東京都内で会見を開き、日本国内における車載半導体の事業戦略について説明した。
同社のオートモーティブ・ビジネスユニット担当バイスプレジデントを務めるMark Gill氏は、「日本国内の自動車市場そのものは減少しつつあるが、日本の自動車メーカーやティア1サプライヤはグローバル展開を加速しており、新興国を中心に伸び続ける世界の自動車市場でさらに成長する勢いを見せている。これらの企業に当社の車載ICを採用してもらえるように、日本国内での事業展開を加速させたい」と語る。
ADIの2012年度(2012年10月期)の売上高は27億米ドル(約2649億円)。このうち、車載事業が占める比率は17%となっている。Gill氏は、「産業&ヘルスケアや通信インフラ、コンシューマといった他の事業分野よりも売上高比率はまだ低いものの、2012年度で最も成長したのが車載事業だった。現在の主要顧客は欧州のティア1サプライヤだが、日本市場での事業展開に注力することで、日本のティア1サプライヤ向けの売上高を伸ばしたい。現在、日本の売上高のうち車載事業が占める比率は10%に過ぎないが、5年後の2018年には倍増の20%まで伸ばしたい」と意気込む。
運転支援システムの信号処理回路をフルカバー
ADIが車載事業で注力しているのが、「安全」、「パワートレイン」、「インフォテインメント」という3つの分野である。中でも安全分野は、1993年から採用されているエアバッグ向けのMEMS加速度センサーや、横滑り防止装置(ESC)向けのMEMSジャイロをはじめ、最も売上高が大きい。
Gill氏は、これらのMEMS慣性デバイスに加えて、衝突事故を未然に防ぐ運転支援システムにおいて、レーザーレーダーやミリ波レーダー、イメージセンサーから得た信号を処理するRFデバイスやトランシーバ、アナログフロントエンド、DSPなどといった信号処理系のICについても、日本国内での販売展開を強化したい考えだ。「当社は、信号処理回路に必要なICのグローバルリーダーであり、自動車の運転支援システム向けでも高品質で高い信頼性を持った製品を提供できる。例えば、24GHz帯のミリ波レーダーを用いた後方衝突警報システム(RCW)や死角検知システム(BSD)は量産採用されているし、先行車両に対する追従走行や衝突防止する用途で用いられている77GHz帯のミリ波レーダー向けの製品開発も進めている」(同氏)。また、イメージセンサー向けでは、同社のDSP「Blackfin」を用いた画像認識ソリューションを開発済みだ(関連記事:「Blackfin」が画像認識アクセラレータを搭載、5つのアルゴリズムの同時処理が可能)。
営業面でも、直接の顧客となるティア1サプライヤと、自動車を開発する上で各車載システムの仕様を決定する自動車メーカー、それぞれを専任の営業チームでサポートする体制を整えた。Gill氏は、「自動車メーカーと直接の取引はないが、自動車技術に新たなイノベーションをもたらすには、当社が自動車メーカーの要求を理解するとともに、自動車メーカーに当社の製品の先進性を知ってもらう必要がある。アウディと締結したパートナーシップはその1つの事例と言えるだろう」と述べている(関連記事:アウディが半導体メーカーと協力関係を強化、ADIをPSCPの戦略パートナーに選出)。
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