BMWの電気自動車「i3」は軽量化を突き詰めたクルマだった!:電気自動車(2/3 ページ)
BMWは、新たに開発した電気自動車「i3」を発表した。i3は、大容量のリチウムイオン電池の搭載による重量増加を相殺すべく、アルミニウムや炭素繊維樹脂などの軽量素材を多用し、同クラスのエンジン車よりも軽い1195kgまでの軽量化に成功している。
全長は「ポロ」と同等、全幅は「1シリーズ」より10mm狭い
ベールを脱いだi3のフォルムは、ハッチバックスタイルではあるが、全体にスポーティな印象を強調している。上下の空間を分割するブラックの帯を水平に入れたデザインにし、2ドア風の観音開きドアを採用することで、姿勢を低く見せている。
外形寸法は全長3999×全幅1775×全高1578mm。全長はVolkswagenの「ポロ」と同等で、全幅はBMWの「1シリーズ」より10mm狭い。全高については、日本市場向けには立体駐車場に入る高さに抑える予定だ。
アルミニウム製フレームの中にリチウムイオン電池パックを抱え込む形で内蔵し、その上に炭素繊維複合材(CFRP)製のパッセンジャーセルと呼ばれる居住空間を載せるEVならではの設計を採用したことにより、外観から受ける印象よりも、室内空間は広々している。電池パックの搭載による230〜250kg程度の重量増加を相殺すべく、アルミニウムやCFRPなどの軽量素材を多用し、同クラスのエンジン車より軽い1195kgまでの軽量化に成功した。
CFRP製パッセンジャーセルの製造プロセスは以下のようになっている。まず、日本から供給されるCFRPのプリカーサ(原料糸)を、米ワシントン州モーゼスレイクにあるSGLグループとの合弁企業・SGLオートモーティブ・カーボン・ファイバーで炭素繊維に加工する。次に、ドイツとチェコの国境付近にあるSGLグループの工場で炭素繊維を布地に織り込んだ後、ミュンヘン郊外にあるランズフート工場でRTM(Resin Transfer Molding)方式によってCFRPに整形する。そして、ライプツィヒ工場で最終アセンブリーされるのだ。
これだけ移動が多いと、移動手段によって排出されるCO2の量が並大抵ではないように思える。しかしBMWは、プリカーサから炭素繊維への加工の部分が、大量の電力を使うとともにコストも掛かることを鑑みて、水力発電の供給比率が高いモーゼスレイクに工場を設ける方が、トータルのCO2排出量を低く抑えられると判断した。外板にプラスチックを採用して塗装工程を省くなどして、CO2排出量やVOC(揮発性有機化合物)の低減につなげている。
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