「ぶつからないクルマ」の保険割引が中止に、金融庁の認可が必要だった:安全システム
アメリカンホーム保険は、「衝突被害軽減ブレーキ装置割引」を導入する予定だった個人向け自動車保険「ファミリー自動車総合保険」の商品改定を急きょ中止すると発表した。これは、金融庁が、衝突被害軽減ブレーキ装置を割引可能な安全システムとして認可していなかったためである。
アメリカンホーム保険は2013年7月29日、同社の個人向け自動車保険「ファミリー自動車総合保険」について、同年9月1日以降に保険期間が開始となる自動車保険契約の商品改定を一時中止すると発表した。導入予定だった「衝突被害軽減ブレーキ装置割引」が、監督官庁である金融庁からの認可が必要なことが判明したため。
衝突被害軽減ブレーキ装置割引では、レーダーやステレオカメラなどから得た情報を解析して自動ブレーキを掛け、先行車両との衝突を回避したり、衝突被害を軽減したりすることができる、いわゆるプリクラッシュセーフティシステム(プリクラッシュ)を搭載する車両について、保険料を最大5%割り引く予定だった。
安全システムを搭載する際の自動車保険の割引については、既にABS(アンチロックブレーキシステム)やエアバッグ、横滑り防止装置(ESC)などで実施されている。これらの安全システムは、自動車に搭載されて普及が進んでから、一定期間をかけて安全性を高める効果を金融庁が確認した後に、自動車保険の割引対象として認可していた。
しかしプリクラッシュについては、ここ1〜2年で急速に普及が進んだこともあってか、金融庁は割引可能な安全システムとしてまだ認可していなかった。アメリカンホーム保険は、自社の裁量で決定できる割引サービスの割引率上限である5%以内であれば、衝突被害軽減ブレーキ装置割引を導入できるとみていたが、金融庁からの勧告を受けて商品改定を中止することにした。
今回の商品改定には既に約40人が申し込んでいたが、同社は個別に商品改定の中止を連絡するとしている。また、衝突被害軽減ブレーキ装置割引については、「金融庁の認可が必要であり、導入が可能になる時期は未定だ」(同社)という。
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