人口ボーナスなどで期待膨らむインドネシア、生産効率の敵は“3毛作思考”?:タイから見た製造業の今(4)(2/2 ページ)
早くから製造拠点として日系企業が進出してきたインドネシアだが、現在は人口増加や中産層の成長などで、再び各社が生産能力を拡大する動きが目立ってきた。タイ駐在の藤井氏による本連載だが、今回はインドネシアに出向き現地の状況を紹介する。
失敗する決まったパターンとは?
ただ一方で、こういうインドネシアの状況に対し、うまくいかないケースというのも目の当たりにした。失敗するケースというのは決まった特徴がある。導入は日本人のトップ自ら実行しているが、中間管理職の不足で運用の定着と稼働の継続ができなくなっているというケースだ。
先ほども述べたようにインドネシアの工場では、現地従業員に対して日本人管理職の比率が非常に少ない。そのため、新たな業務プロセスの導入には、現地人中間管理職の力が必要不可欠なものとなっている。
しかし、インドネシアに新工場が次々と建設される中、能力の高い管理職人材の慢性的な不足という事態に陥っている。そのため、トップがパッケージソフトを導入し工場に根強くはびこるExcelによる部分最適を排除しようとしてもうまく実現できない現実があるというわけだ。
交通渋滞は経済の大幅な損失に
インドネシアの工場に行くと、多くの若い労働者が働いており、2030年までは続くといわれている人口ボーナス(生産年齢人口に対し、年少人口や老年人口が少ない状況。労働力が豊富である状況を示す)を実感することができる。
ただ、その中で最大の問題点といえるのが、交通インフラではないだろうか。中国の上海やタイのバンコク以上の交通渋滞が工場地帯へ続く道路まで連なっている。交通網の整備が行きとどいていないことにより、移動に使う時間で多くのGDPが失われているようにも感じる。
また好況が続くインドネシアの製造業だが、既に自動車部品企業の進出はティア4クラスとなってきており、2013年から2014年にかけては一段落ということになってきそうだ。日本企業については2013年は増加している(JETRO)としているが、2014年は大統領選挙などもあり、一時様子見をする傾向が強まっているという。
海外の現地法人は? アジアの市場の動向は?:「海外生産」コーナー
独立系中堅・中小企業の海外展開が進んでいます。「海外生産」コーナーでは、東アジア、ASEANを中心に、市場動向や商習慣、政治、風習などを、現地レポートで紹介しています。併せてご覧ください。
著者略歴
アスプローバ株式会社
副社長 藤井賢一郎(ふじい けんいちろう)
半導体工場のSEとして生産管理システムを開発。営業に転じてからは、製造業のお客様に向けたシステム提案一筋に従事。生産管理パッケージソフトウェアを100社以上に導入した他、生産計画ソフトウェアの採用が300社以上に達した実績がある。2012年まで、アスプローバチャイナ社の総経理として活躍、2013年からは、チャイナ・プラスワンビジネスとしてタイに赴任予定。
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