化学系求人は材料が使われる先の業界動向次第。活況は自動車用の電池・樹脂材料など:分野別 転職市場状況
2013年6月時点の化学・素材分野、プラント・エネルギー・インフラ業界の転職市場状況を紹介。
本記事は人材紹介会社「メイテックネクスト」河辺真典氏からの寄稿です。
化学・素材分野の状況と転職のポイント
化学系の求人は、対象製品分野の業界動向にひもづいて中途採用のニーズに動きが出ています。
例えば、自動車業界に関する材料系の求人は、昨年度に引き続き求人ニーズが高い状況です。具体的には次世代の新規開発が進む電池・電池材料や、車体軽量化と製造工程の簡素化に寄与する樹脂材料、ゴム材料、排ガス浄化用触媒などの開発および生産技術などの分野です。完成車メーカーおよびセットメーカー、材料メーカーそれぞれにおいて求人ニーズがあります。環境対応のための技術革新などの分野では、機械的な構造や制御では解決しえないブレークスルーをもたらす手段として、素材の観点から課題解決を担える材料技術エンジニアが求められています。
電気メーカーおよび電子材料関係の開発の募集は横ばいで、世界市場でシェアの高い材料を持つ素材メーカーでの素材開発のニーズおよび、新規事業分野の強化などの開発や用途開発、およびプロセスエンジニアの募集は継続しています。また、電子部品メーカーは海外とのコスト競争が進展する中で、製造工程上の課題を解決できる技術開発者の採用を一部、再開した企業もあります。
ライフサイエンス(診断薬、医薬品、医療材料)、コンシューマ製品(食品、化粧品)分野についても募集状況は微増ですが、新規事業分野の強化や海外マーケットの開拓に向けた採用など、事業目標に即したニーズが多いのが特徴です。
プラント・エネルギー・インフラ業界の状況と転職のポイント
プラント・エネルギー分野の国内外の情勢としては、再生可能エネルギーへの補助金制度や原子力発電の状況から天然ガス需要の増加、米国でのシュールガス革命を背景とした、求人動向となっています。
具体的には、太陽光、風力、水力発電分野でのエンジニアリング、施工管理案件が昨年末から継続募集となっており、天然ガス・シェールガス関連では、資源開発会社や商社系企業、石油会社で採掘技術者のニーズが高まっています。
大手プラントエンジニアリング企業では、石油・石油化学分野での求人に加えて、発電設備や水処理、製薬プラント分野にも、技術開発を進めて業務領域を拡大し、その分野の専門家ニーズも高まっています。
インフラに関しては、電気自動車、燃料電池自動車向けのエコステーションを国家施策として、全国約100箇所への建設が進むため、エンジニアリング業務の求人が顕在化しているのと、水処理に関しては、水処理設備の保守・管理での求人ニーズが高い状況です。
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