「3Dプリンタによる量産」は近い将来に起こり得るのか。求人動向から考える:ニュースからひもとくエンジニア求人動向(2/2 ページ)
3Dプリンタ関連のニュースが日々の紙面を飾るようになってきました。海外3Dプリンタメーカーの求人情報が日本でも登場してきましたが、国内メーカーの生産技術関連の求人情報を見る限り、「3Dプリンタ」というキーワードは見受けられません。
「3Dプリンタを活用した量産」よりも優先度の高い生産技術革新
話は変わりますが、ある自動車メーカーに訪問させていただいた際、「海外製造車両の受注を獲得するために武器となるのは、部品の技術開発も重要だが、その部品の製造工程を自動化パッケージにすることで、ロケーションを選ばず、品質やコストを安定化させるモノづくりの信頼性も重要だ」というお話を伺いました。
新興国において人件費が上昇する中、安直に安い人件費だけを求めて海外進出するケースが少なくなってきました。一方、新興国という大きな市場を狙って、同国内に生産拠点を作ろうという戦略に基づいて海外進出するケースは増えていくことでしょう。その際に、ロケーションを選ばず、適正な品質・コストで製造できる自動化パッケージを整えておくことが非常に重要なテーマなのだとあらためて感じました。
つまり直近の求人情報を見る限り、ここ数年のうちに「3Dプリンタを活用して量産しよう」という劇的な生産技術革新が起きる可能性は低いのですが、「ロケーションを選ばず適正な品質・コストで製造できる自動化パッケージ」による生産技術革新を着実に進めようとする動きを国内メーカーは見せています。
「3Dプリンタを活用した量産」ではないにせよ、「ロケーションを選ばない自動化パッケージ」を実現するのも技術的には大きなチャレンジです。生産技術エンジニアの皆さん、グローバルシフトを加速し、さらなる進化の途上にある国内大手メーカーで、技術革新という武器を手にグローバルで戦うチャンスは今です。
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