クラウドサービスAutodesk 360のこれから:CEOのMakeな活動も
米オートデスク グラント・ロシェル氏の「Autodesk 360」の今後の展開に関するインタビューを紹介。同社CEOのユニークな「こぼれ話」も。
米オートデスク インダストリーストラテジー&マーケティング シニアディレクター グラント・ロシェル氏が来日し、オートデスクのクラウドサービス「Autodesk 360」の今後の戦略について語った。同サービスの提供開始は、2011年9月。2012年2月〜2013年1月までに作成されたアカウントは、約900万件。現在も順調にユーザー数を伸ばしているとのことだ。
「まずは、慣れてもらう」ということで、同社製品のサブスクリプションユーザー向けの機能としてAutodesk 360のツールを提供してきたが、ユーザーの利用率は高いという。「慣れてもらうのによい方法だということが実証でき、ユーザーにクラウドサービスの付加価値を感じてもらっていると認識している」とロシェル氏は述べている。
現在時点、提供しているのは、以下である。
- Autodesk AutoCAD 360:2次元設計/コラボレーションサービス
- Autodesk BIM 360:次世代BIMツール
- Autodesk PLM 360:製品ライフサイクル管理ツール
- Autodesk Sim 360 Pro:構造・流体解析ツール
- Autodesk ReCap Photo:点群データによる3次元データ生成ツール
ハードウェアの進化、クラウドなどITやネットワーク技術の高度化、ユーザーの購買手段・思想の変化など、ソフトウェアを巡る環境は大きく変わってきていた。オートデスクはその変化を察知し、いち早くクラウド技術に投資してきた。
従来のデスクトップ製品は、ユーザーの初期投資費用が掛かり、企業によっては導入したものの、だんだん使用率が落ちてしまうということもあった。また、ソフトウェアもユーザー自身がアップデートしていく必要があった。また、解析ソフトウェアを使うには、ユーザーのハードウェアもその処理に見合うものを用意しなければならなかった。
クラウドサービスからのツールは、例えば「この期間だけしかCADを使わない」「規模の大きな流体解析をしたいが、現状のマシンのスペックでは処理できない」といった場合に、従量課金や、高度なハードウェアリソースをWebベースで提供するなどが可能となる。
米オートデスクは、Autodesk 360経由でのCAMの提供や、各種ツールの従量課金(レンタル)版も計画しているという。リリース時期は、「おおよそ、いつもと同じ感じ」ということ。この夏から秋(同社プライベートイベント「Autodesk University」の時期)にかけて、ここに書いた以外にも、クラウド関連の“何らかの”製品が次々と登場するようだ。
米アドビは、同社の「Creative Suite」などデザインソフトをデスクトップ版を廃止し、クラウド版に一本化することを発表している。しかしオートデスクは、これからも、従来のデスクトップ版とクラウド版の2つを提供し続け、ユーザーが好きな方を選択する形とするという。
こぼれ話:CEOのMakeな活動
ロシェル氏は、こんなエピソードも教えてくれた。
米オートデスク CEO カール・バス氏は、自社のソフトを自分でも「一度は操作してみる」主義だそう。3次元CADは日常的に操作しているようだ。自社のソフトを使い、実際にモノづくりにチャレンジしているという。最近作ったのは、ユニークな形をしたストーンベンチ(石でできたベンチ)「Cheek-to-Cheek Bench」だ。自身で、Inventorを使ってモデリングしただけではなく、構造解析もしている。さらに曲面が滑らかに表現できるように注意を払いながら3Dプリンタで試作。展示用として、3次元モデルを「Showcase」を使いレンダリングまでした。
このストーンベンチは、実際に中国で製造したということだ。ただし、こちらは非売品。
第24回 設計・製造ソリューション展(DMS2013)
会期 2013年06月19〜6月21日 10:00〜18:00※最終日のみ17:00終了
会場 東京ビッグサイト
オートデスク ブース情報
東ホール(小間番号:15-40)
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