コンフェデ杯のベンチルーフはガラス製に、スマホ向け特殊ガラスを3層合わせ:シュートが直撃しても割れません
旭硝子は、競技者用ベンチに利用できるガラスルーフを開発し、2013年6月15日からブラジルで開幕する「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」の6会場16試合の全てに提供する。従来、ベンチルーフには透明樹脂が用いられており、「ガラス製は世界初」(同社)となる。
旭硝子は2013年6月6日、競技者用ベンチに利用できるガラスルーフを開発し、同年6月15日からブラジルで開幕する「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」の6会場16試合の全てに提供すると発表した。従来、ベンチルーフには透明樹脂が用いられており、「ガラス製は世界初」(同社)となる。
このガラスルーフは、世界の30ブランド以上/100機種以上のスマートフォンやタブレット端末のカバーガラスなどに利用されている化学強化用特殊ガラス「Dragontrail」を3層合わせにすることで、サッカーボールが直撃しても割れない強靭さを実現した。旭硝子は、Dragontrailのような電子・ディスプレイ用だけでなく、建築用や自動車用のガラスも手掛けており、「競技者用ベンチへの最適化は建築用ガラスの、3層合わせの技術は自動車用フロントガラスの知見を応用した」としている。
ガラスルーフの1枚当たりのサイズは1.4×0.7mで、厚さは6mm。これを外形寸法が幅11.5×高さ1.9×奥行き1.0mの競技者用ベンチの屋根部や後背部にはめ込んでいる。ガラスの剛性は、45kgの砂袋を高さ2.3mから落としても割れないことで確認している。これは「一流サッカー選手が間近からシュートを打つのと同程度の衝撃」(旭硝子)だという。
ガラス製のベンチルーフは、透明樹脂と比べて光の透過性が高いので、ベンチに座っている競技者を観客から視認しやすくなる。Dragontrailが傷付きにくい特性を持っていることもメリットになる。さらに、透明樹脂の課題である、屋外の外光による変形や変色、劣化なども起こらない。重量は透明樹脂より重くなるものの、「FIFAの要求水準をクリアしており、ベンチルーフの運搬に問題のない重さに仕上げた」(同社)。
旭硝子は、今回のコンフェデレーションズカップ2013と、2014年のワールドカップブラジル大会に、FIFA公式認定ガラスルーフを提供するブランドライセンス権を取得している。2014年のワールドカップでは、しゃ熱や反射防止、情報表示が可能なガラス製の特徴を活用して、さらに進化したガラスルーフを提供する計画である。
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