ベテラン人材にとっての有力な選択肢。ヘッドハンティング会社にできること/できないこと:メーカーで働く幹部クラスのための転職術(1/2 ページ)
ハローワークや転職情報サイトなど、さまざまな転職手段がある中で、あまり実態を知られていないのがヘッドハンティング会社。人材紹介会社との違いなど、ヘッドハンティング会社に期待できるところ/できないところを紹介する。
本記事はヘッドハンティング会社「キャリア・デベロプメント・アソシエイツ(CDA)」田辺晃代表取締役からの寄稿です。
ヘッドハンティング会社と人材紹介会社、どこが違うのか
ハローワーク、転職情報サイト、転職フェア、人材紹介会社、取引先や友人・知人などのコネクションからの紹介など、転職にはいくつかの手段があります。私たちが手掛けるヘッドハンティングもそのうちの1つ。大きなくくりでは人材紹介会社と同じように見えるかもしれませんが、細かいところは違っています。
まず対象とする人材の層。人材紹介会社は比較的若手が対象です。具体的には30歳前後くらいまでの人材が転職するのを主に支援しています。保有する求人の肩書きも、幹部"候補"までにとどまることが多いです。
一方、ヘッドハンティング会社は基本的に、カントリーマネジャーなどの経営幹部人材や、特定の技術分野に長けたスペシャリスト人材のみを対象にしています。人材紹介会社よりもさらにピンポイントの人材、即戦力の人材を求められますので、対象とする人材の年齢層は人材紹介会社よりも自然と高くなっています。
アメリカと日本、転職環境の違い
アメリカでは「医師・弁護士・ヘッドハンター、それぞれ信頼できる相手を1人は見つけるべきだ」と言われています。自分の経歴・実績をよく理解してくれて、自分を必要とする企業を見つけたらすぐに情報を回してくれ、ときには自分を企業に売り込んでくれるのがヘッドハンター。優秀なビジネスパーソンなら、懇意にするヘッドハンターが1人はいます。
ただ、日本では事情が違います。転職することで肩書きを上げて給料も増やそうとするアメリカとは違い、日本企業にはそうした文化はありません。アメリカと比べて、特に幹部クラス以上の求人がなかなか出てきません。アメリカほど気軽に転職できる環境ではないと言えるでしょう。
ですから、日本でベテランの経営幹部やスペシャリストが転職を考えるのなら、ヘッドハンティング会社を頼っても、外資系企業か一部の中小企業くらいしか、転職先がないのが実情です。日系の大手企業の求人は、まず出てこないと考えておいた方がいいでしょう。
とはいえ、外資系企業への転職にも課題は残ります。外資系企業は経営判断が短期的な視野から行われる傾向があるため、「日本で成功しない」と判断されたら、日本から即撤退/部門閉鎖します。そうなるとよほどの能力・実績がないと、次の会社が見つかりません。そして転職を繰り返しすぎると、「ジョブホッパー」という不名誉な烙印を押されてしまいます。次の会社を見つけるためには、給与などの希望条件を引き下げていくしかなく、先細っていくばかりです。
また、早期退職・リストラに遭った方は、まずはヘッドハンティング会社に相談するのが良いでしょう。その方にあった仕事を引き出してくれる可能性があります。
ただ、ヘッドハンティング会社は通常企業からの求人依頼に基づいて動きますので、マッチング案件があった場合はすぐに紹介できますが、マッチング案件の無いときは時間が掛かるか、または紹介に至らないケースも多くあります。
基本的に中高年の再就職は簡単ではありませんので、「今すぐ仕事を見つけたい」という方は別の手段を模索してください。私の感覚では、メーカーで働いていたベテラン求職者の7〜8割は、取引先や友人・知人などのコネクションからの紹介で仕事を見つけています。
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