ニュース
モーター用磁石のジスプロシウム使用量を半減、TDKのHAL工法:人とくるまのテクノロジー展2013
TDKは、電気自動車やハイブリッド車の走行用モーターなどに用いるネオジム磁石のコスト削減に向けて、高価なジスプロシウムの使用量を減らしても保磁力を維持/向上できる「HAL工法」を開発した。
TDKは、「人とくるまのテクノロジー展2013」(2013年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、電気自動車やハイブリッド車の走行用モーターなどに用いるネオジム磁石のコスト削減に向けて、保磁力を向上させるために添加するジスプロシウムの使用量を減らせる「HAL(High Aniso.field Layer:高異方性磁界層)工法」を紹介した。
ネオジム磁石は、内部にジスプロシウムを拡散することで保磁力が向上するが、その分コスト高となる。比較的低温で熱処理を行うHAL工法は、高温で処理する従来の混合法のように結晶粒子の内部深くまでジスプロシウムが拡散することがない。このため、特性を向上させつつジスプロシウムの使用量を削減できる。「HAL工法を使えば、混合法と比べてジスプロシウムの使用量を20〜50%削減できる。最近では、保磁力を維持しながらジスプロシウムの元素を選択的に最適配置することもできるようになったので、ジスプロシウムの使用量をさらに数〜10%程度削減可能だ」(同社の説明員)という。
関連記事
- 日産のEV「リーフ」が250万円以下で購入可能に、走行距離も14%増の228km
日産自動車は電気自動車(EV)「リーフ」をマイナーチェンジした。補助金を含めて250万円以下で購入可能なグレードを追加するとともに、満充電からの走行距離を従来比14%増の228kmまで伸ばしたことを特徴とする。 - 東芝がジスプロシウム不使用のモーター用磁石を改良へ、鉄濃度を30%に引き上げ
東芝は、ジスプロシウムを全く使用しない「高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石」を改良するために、磁力を減らす異相が発生しにくい焼成プロセスや、鉄濃度を25%から30%まで高める技術などを開発中である。 - 新構造で磁石レスモーターの課題を克服、トルク性能が永久磁石モーターと同等に
レアアースの高騰によって注目されている永久磁石を使わないモーターの1つに、スイッチトリラクタンス(SR)モーターがある。東北大学は、アキシャルギャップ構造の採用によって、SRモーターの課題だったトルク性能を永久磁石モーターと同等レベルまで引き上げた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.