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台形駆動で脱調を克服! ステッピングモーターをスピードアップマイクロマウスで始める組み込み開発入門(13)(1/3 ページ)

市販の組み立てキットを利用して、「マイクロマウス」の開発を進める北上くんとえみちゃん。オリジナルプログラムを作成し、ようやくマイクロマウスが走り出した。今回は、ステッピングモーターの“脱調”を克服して、より速く走らせる!

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前回までのあらすじ

 組み込み技術者に要求される要素が“ギュッ”と詰まった「マイクロマウス」。北上くんと新入社員のえみちゃんは、スキルアップを兼ねてマイクロマウスを開発中です。北上くんの指導を受け、えみちゃんもLEDやブザーの制御、A/D変換、シリアル通信といったマイコン制御の基礎を学んできました。そして、ようやくマイクロマウスが走り出しましたが……(前回の記事へ)。


本連載の登場人物

北上 篤人(きたがみ あつと)
26歳、男性。次期プロジェクトリーダーとして期待されている(と、本人は思っている)。専門は、ソフトウェア開発。電気回路やハードウェアに苦手意識を持っていて、いつか克服したいと考えている。

物江 えみ(ものえ えみ)
22歳、女性。この4月に入社したばかりの新入社員。C言語は大学の授業で学んだ程度なので、仕事についていけるかどうか不安を抱えている。性格は明るく、好奇心旺盛。早く一人前になりたいという強い熱意を持っている(ようだ)。



ステッピングモーターの脱調とは?

――モグモグ、モグモグ(おやつの桜餅と柏餅を食べながら……)

えみ

あ〜、美味しい。春って、和菓子の気分ですよね!!


北上

分かる、分かる!


えみ

(ゴックン)

で、センパイ! 何で、「ステッピングモーター」だとマイクロマウスを速く走らせるのが難しいんですか?


北上

モーターを急加速すると「脱調」しちゃうんだよ。だから、ちょっと工夫が必要なんだよね。


えみ

だっちょう? ダチョウだったら足が速そうだけどなぁ……。


北上

……。じゃ、じゃあ、まず脱調の説明からするよ。



 前回、北上くんとえみちゃんは、ステッピングモーターを搭載する、マイクロマウスの市販組み立てキット「Pi:Co Classic」を動かすことに成功しました。ただ、えみちゃんは「もっと速く走らせたい!」と今のスピードに不満を感じています。

 ステッピングモーターは、回転速度と移動距離をプログラムで指示できるため、初心者でも比較的簡単に扱うことができます。しかし、ステッピングモーターでより速く走らせたい場合、「脱調」に注意する必要があります。

 前回紹介したように、ステッピングモーターはパルス信号に同期して回転します。急激な速度変化や過負荷時にモーターのトルクが不足して同期を失い、正しい動作ができなくなります。この現象を脱調といいます。

 動画1は、ステッピングモーターが脱調している様子です。ステッピングモーターが脱調した際の動きや音を確認してみてください。

動画1 これ以外にも、起動パルス速度が高過ぎていたり、振動が大きかったりすると脱調が起きやすい

 直進しているときは「急激に速度を上げたために脱調」、回転しているときは「速度を上げ過ぎた(過負荷)ことによる脱調」を起こしています。見た目からは脱調の原因まで分かりませんが、脱調には大きくこの2つの理由があることを覚えておいてください。

脱調を回避して、スムーズに加減速する

北上

これがステッピングモーターを扱う際に注意が必要な脱調っていう現象だよ。


えみ

前回、ステッピングモーターの仕組みを学んだので、「同期を失う」というのも何となくイメージできますね。

じゃあ、脱調させずにスピードを上げるには、どうしたらいいんでしょうか?


北上

モーターの気持ちになって、マイコンから適切にパルスを出せばいいんだよ。


えみ

モーターの気持ちになる……ですか。ううっ、もう少し具体的に説明してほしいですぅ〜。


北上

急激な加速を避けて、緩やかにスピードを上げてあげればいいんだよ。もちろん、止まるときも急停止はダメだよ。


えみ

なるほど〜。でも、それをどうやってプログラムすればいいんでしょうか。よく分かりません……。


北上

よし! じゃあ、一緒に考えいこう。



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