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富士通、医療機器のワイヤレス化で患者負担や医療ミスを軽減ヘルスケア/医療機器

富士通は、IEEE 802.15.6規格に準拠した医療向け通信規格であるメディカルボディエリアネットワーク(mBAN)の試作無線機を開発。本装置を医療専用周波数帯(400MHz帯)に用いた国内初の実証実験を富士通クリニックにて実施した。

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富士通

 病院内で使用される医療機器のワイヤレス化(ケーブルレス化)に向け、富士通が実証実験を実施した。

 従来の医療現場では、入院患者の心電、脳波、血圧、体温といったバイタルチェックは、ケーブル接続(医療機器本体と患者に取り付けるセンサー部はケーブル配線)による計測が基本であり、計測結果を看護師が目視して、その数値をカルテに転記するのが通例であった。

 病気やケガで入院している患者の立場からすると、ケーブル配線はストレスに他ならない。計測中は、体の位置や向き、動きなどに制約があり、患者の体に負担を掛けているケースも少なくない。また、NICU(Neonatal Intensive Care Unit)などで治療を受けている新生児などは、心電ケーブルに絡まる危険性もある。

 同様に、医療を提供する側にとってもケーブル配線は課題として認識されている。例えば、介助をする際にケーブルの取り回しが煩わしかったり、本来取り外してはいけないケーブルを誤って抜いてしまったり、カルテへの転記をミスしてしまったりなど、患者のQoL(Quality of Life)や医療の質の向上を妨げる要因として考えられている。

 医療機器のケーブル配線が抱えるこうした課題を受け、富士通は、IEEE 802.15.6規格に準拠したメディカルボディエリアネットワーク(medical Body Area Network:mBAN)の試作無線機を開発。本装置を医療専用周波数帯(400MHz帯)に用いた「国内初」(同社)となる実証実験を富士通クリニックの病室内にて実施した。

 mBANは、2012年2月に標準化が完了した、医療用途に特化した通信規格である。低消費電力が特徴の1つであり、無線出力を低減させて通信可能エリアを3〜5m程度に限定し、通信プロトコル上でもスリープモードなどを活用することで、通信時・待機時の電力消費を抑えている。これにより、mBAN通信モジュールを組み込んだ機器の電池長寿命化が可能になるとしている。なお、無線の周波数は、医療専用周波数帯(400MHz帯)以外にも、汎用的なISMバンド(2.4GHz帯)の他、各国の医療専用周波数帯にも対応する。

mBAN利用時のイメージ図
mBAN利用時のイメージ図(※出典:富士通)

 実証実験は2013年2月18〜22日の5日間、総務省より受託した「400MHz帯医療用テレメーターの周波数高度利用技術」に関する調査検討(調査検討業務は2011年度および2012年度に実施)の一環として行われた。

 実証実験では、mBANの試作無線機(無線通信機能付きの心電計など)を患者役の従業員の体の各部位に取り付け、実際の病室内で、装置の位置や被験者体勢を変えた際のmBANシステムの性能測定を行い、身体近傍でのデータ通信の信頼性を検証。さらに、同一の病室内において、複数の独立したmBANが利用されている際に、干渉することなく安全に同時運用が可能なことを確認できたという。

 同社は、将来的にmBANが医療現場で広く利用されることを見込んでおり、今後も開発を進めていく方針だ。

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