時速285kmの世界で車両情報、心拍数・心電図をリアルタイム把握:ポルシェ カレラ カップ ジャパン 2012で実装確認
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、アクティブセーフティ、そして、バイオメトリクスデータのリアルタイム取得・発信を可能とする、新コンセプトの「ドライバーアシストシステム」をレーシングカーに実装する計画を発表。まず、3月31日、4月1日に岡山国際サーキットで開催される「ポルシェ カレラ カップ ジャパン 2012」の第1、2戦において実装確認試験を行う。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは2012年3月29日、事故などを未然に防ぐ「アクティブセーフティ(予防安全)」、そして、心拍数や心電図などの「バイオメトリクス(生体計測)」データのリアルタイム取得・発信を可能とする、新コンセプトの「ドライバーアシストシステム」を、2012年度中にレーシングカーに実装する計画を発表した。
新コンセプトのドライバーアシストシステムには、同社の先進技術が活用されている。同社は、これを過酷な環境下で走ることを余儀なくされるレーシングカーに実装し、安定稼働を成功させることで、モータースポーツ分野での新たなパラダイムの創出を狙う。そして、同時に、同システムで培われた技術をいち早く一般の乗用車へ普及させる取り組みも進めていくとする。
新コンセプトのドライバーアシストシステムでは、アクティブセーフティ、バイオメトリクスの他、これらデータをリアルタイムで転送するための高速データ通信を実現する。以下にその概要を列挙する。
- アクティブセーフティ:同社の組み込み向けアプリケーションプロセッサ「i.MX 6シリーズ」を搭載した画像処理システムを用い、全方位(360度)をカバーする複数のデジタルカメラのHD画像を統合して処理する。また、各種センサーからの車両データの計測情報を基に、最適な車両制御を支援する
- バイオメトリクス:特殊なセンサーを組み込んだレーシングスーツをドライバーが着用。各種計測情報を有線/無線で車載システムに転送する。リアルタイムでドライバーの生理状況をモニタリングし、メータクラスタ上とパドック(車両の整備・点検を行う場所)に表示する
- 高速データ通信規格「LTE」:同社のQorIQマルチコアプロセッサやDSPが採用されているLTE通信インフラを経由して、時速285km以上のスピードで走行する車両から、HD画像を含む各種情報をリアルタイムで転送する
同社は、3月31日、4月1日に岡山国際サーキット(岡山県美作市)で開催される「Porsche Carrera Cup Japan 2012(ポルシェ カレラ カップ ジャパン 2012)」の第1、2戦において、実装確認試験を行う。そして、本年度中には、心拍数、心電図、身体各部骨格筋動作などのドライバーモニタリング、360度モニタデジタル画像処理カメラ、タイヤスリップ角検出、重力加速度、ステアリングアングル、ホイールスピード、エンジン回転数といった車体モニタリング、そして、フルグラフィックスクラスタ(バイオメトリクス情報の統合を含む)の実現など、合計10個にも及ぶシステム融合を行い、2013年以降のレーシングマシンにおけるさらなる技術革新と、普及に向けた取り組みを推進する。
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