ウェアラブルコンピュータがなぜ再び脚光を浴びているのか?:本田雅一のエンベデッドコラム(21)(2/3 ページ)
誰もがスマートフォンを所有し、スマートフォンに情報が集まる時代。スマートフォンを“インフラ”として捉え、製品やコンセプトを見直してはどうだろうか。使い古されたはずのコンセプトが、再び輝きを放つかもしれない。
ウェアラブルコンピュータがなぜ再び脚光を浴びているのか?
さて、言葉としては使い古された“モバイルファースト”だが、その考え方が進んだ今日、あらゆる情報やアプリケーションは、スマートフォンに集約されている。また、ご存じのように、昨今はタブレット端末も伸び、スマートフォンと同様のアプリケーションが用意されることが多くなった。そのため、こうした情報の流れの変化はさらに加速し、公共サービスを含む“社会インフラ”として定着していくものと思われる。
スマートフォンをきっかけに、Webやアプリケーションの構築手法のトレンドが変化してきたが、今度は、これが端末のトレンドにフィードバックされる時期だ。Webやアプリケーションが隅々まで“モバイルファースト化”(“スマホ化”と言い換えてもいい)し、スマートフォンという製品カテゴリーそのものが、誰もが当たり前に使用するプラットフォームの一部になってくるだろう。
昨今、話題になっている「Google Glass」をはじめとするウェアラブルコンピュータ、すなわち身に付けるように使う小型コンピュータが、時を越えて再び脚光を浴びているのも、スマートフォンというハードウェア分野がプラットフォームとして定着し始めていることを示しているのかもしれない。
Googleが開発するメガネ型ウェアラブルコンピュータ「Google Glass」。写真は、開発チーム「Project Glass」のメンバーであるグレッグ・プリースト・ドーマン氏が度付きのGoogle Glassのプロトタイプをかけている様子(公式Google+に公開されたもの)
メガネのように装着するGoogle Glassは、片眼の視野に重ねるよう表示を行うディスプレイを配置。動画や静止画を撮影するカメラやヘッドセットの機能も兼ね備えており、スマートフォンと連動することで、多彩な機能やサービスを交えた、新しいユーザー体験を提供する。Google Glassは、スマートフォンの周辺デバイスとしてではなく、それ自身を独立したコンピュータとして設計することで、ウェアラブルコンピュータとしての機能が保たれている。
Google Glassに搭載されている各種機能は、音声認識で利用できる。予定表、交通案内、天気予報、着信通知、テキストメッセージの表示、音声認識を活用したテキストメッセージの返信、静止画や動画撮影などが可能だ。ただし、Google Glassに通信機能は備わっておらず、Bluetoothでスマートフォンに接続してテザリングで通信を行うことになる。つまり、Google Glassは、誰もがスマートフォンを所有し、スマートフォンに情報が集まることを前提に開発された製品ということだ。
スマートフォンの普及率(日本国内)が、まだ40%に達していない現時点(原稿執筆時点)で、“スマートフォンが世の中のインフラである”と考えるのはナンセンスかもしれないが、今後、この数字が50%を越えて徐々に100%に近づいていくことは間違いないだろう。今から何らか製品を企画するのであれば、ソフトウェアやサービスにおけるモバイルファーストと同じように、“スマートフォンをインフラとして捉える”のがよいのではないか。
昨今、各種センサーを内蔵し、身に付けているだけで各種情報を収集。その結果を分析してくれるライフログのための周辺デバイスが流行の兆しを見せているが、それらもスマートフォンの普及が大前提にあるといえる。
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