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スチールを極める日産、2017年度以降の超ハイテン材採用比率は25%へ製造技術(1/2 ページ)

日産自動車は、車体構造部品に用いる超高張力鋼板(超ハイテン材)の採用比率(重量ベース)を、2017年度以降に現在の約2.8倍となる25%まで増やす方針だ。2013年夏に北米市場で発売する「Infiniti Q50」に初採用した1.2GPa級高成形性超ハイテン材などを活用し、「スチールを極めた」車体軽量化を推し進める。

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「Infiniti Q50」の車体

 日産自動車は2013年3月12日、車体構造部品に用いる超高張力鋼板(超ハイテン材)の採用比率(重量ベース)を、2017年度以降に現在の約2.8倍となる25%まで増やす方針を発表した。併せて、超ハイテン材で製造するのが難しい複雑な形状の部品に対応可能な1.2GPa級高成形性超ハイテン材を新たに開発し、2013年夏に北米市場で発売する「Infiniti Q50」に採用することも明らかにした。

「Infiniti Q50」の車体
「Infiniti Q50」の車体。赤色で示した部分に1.2GPa級高成形性超ハイテン材を使用している。(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 同社は2013年時点で、車体構造部品に用いている鋼材のうち、引っ張り強度(張力)が780Mpa以上に達する超ハイテン材の採用比率は9%となっている。今後は、成形性に優れる1.2GPa級高成形性超ハイテン材を積極的に採用し、2017年度以降に超ハイテン材の採用比率を25%まで高める。これに加えて、車体構造の合理化も推し進めることにより、2005年度比で車両重量を15%軽量化する計画である。

日産自動車が想定する超ハイテン材の採用比率
日産自動車が想定する超ハイテン材の採用比率(クリックで拡大) 出典:日産自動車

軽量化を可能にするハイテン材

 自動車の燃費を削減するためには、新たなエンジンやハイブリッドシステムの導入といったパワートレインの改善だけでなく、軽量化も重要な取り組みになる。特に、車両重量のうち高い割合を占める車体の軽量化は大きな課題になっている。現在市販されている車両のほとんどは、車体構造部品に鋼材を用いている。この鋼材を、より軽い材料に置き換えれば、車体の軽量化を実現できる。

 そこで近年になって利用が急拡大しているのが、通常の鋼材より高い強度を持つ高張力鋼板(ハイテン材)や、さらに強度を高めた超ハイテン材である。通常の鋼材の張力は440MPa以下だが、ハイテン材は440〜780Mpa、超ハイテン材は780Mpa以上の張力を有している。ハイテン材や超ハイテン材を使えば、部品の板厚を薄くするといった軽量化を施しても、通常の鋼材で作った部品以上の強度を確保できるのだ。

 また、ハイテン材や超ハイテン材の採用拡大では、コスト低減も可能になる。単位重量当たりの価格は高いものの使用量を大幅に減らせるので、トータルコストを低減できるという。

ハイテン材/超ハイテン材の採用による部品板厚とコストの低減イメージ
ハイテン材/超ハイテン材の採用による部品板厚とコストの低減イメージ(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 ハイテン材や超ハイテン材を使う以外でも、アルミニウムや炭素繊維樹脂といった鋼材よりも軽量な素材の採用による軽量化も検討されている。しかし日産自動車は、「超ハイテン材の採用拡大や車体構造の合理化などによって、スチール(鋼材)を使った車体の軽量化の限界に挑戦する。スチールを極める」方針である。

日産自動車の車体軽量化の目指す姿
日産自動車の車体軽量化の目指す姿。鋼材(スチール)を使った車体の限界に挑戦する。(クリックで拡大) 出典:日産自動車

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