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良品作りのリフロー炉の操作方法と現場の人材育成方法(2)量産現場における良否の判定方法(1/3 ページ)

はんだ付けに用いるリフロー炉の操作方法や、実装ラインの品質を管理する現場の人材育成の手法を解説する本連載。第2回は、第1回に引き続き、実装ラインにおけるはんだ付けの良否について、具体的な事例を紹介する。

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本連載は「エレクトロニクス実装技術」2012年4月号の記事を転載しています。



1. 事例(3)現場における良否の判定基準

 フラックスは100℃を超えると熱で軟化し、リードやランドの熱に反応しその周りに広がり綺麗な曲線を描く。熱反応が悪いフラックス(耐熱性が高いフラックス)や熱風で劣化したフラックスは荒れて外側へ広がる傾向が見られる(図1、図2、図3)。


図1
図1 写真左上=プリヒート時の熱風で飛散して荒れている、写真右上=ファン回転数を低速にして下部ヒータを上げ改善している、写真左下=リード間のはんだが繋がっている。また、リード先端のフラックスの広がりに差が見られる、写真右下=リード間のはんだの切れとフラックスの広がりが改善されている(クリックで拡大)
図2
図2 フラックス残渣の広がり 写真上=通常のぬれ上がり、写真下=リードの踵部分がぬれ上がりで太く接合強度が改善されている(クリックで拡大)
図3
図3 1段目写真左=リード間でフラックスが繋がっている、1段目写真右=フラックスはリード間で切れているので、ブリッジになることはない、2段目写真左=フラックスが荒れて外に広がっている、2段目写真右=フラックスに荒れは見られない、3段目写真左=フィレット光沢がないのは過熱で冷却が遅れた証拠である、3段目写真右=フィレット光沢が改善されている。共に左側リードのフラックスが荒れている、4段目写真左右とも=左側リードのフラックスが荒れている(クリックで拡大)

 フラックスが正しく熱反応をすると、熱源のリードやランドに絡むように広がり、フィレット表面を覆い、はんだの表面張力を抑えてその流動性を保持しセルフアライメント効果やぬれ広がり、上がりを確保すると同時にはんだの熱対流によるガスの放出でボイドを削減する効果が得られる。

 はんだ付けはフラックスの効力を最大限引き出すことでぬれ性を含む接合部の品質を確保する。現場では最初にこのフラックス残渣の形状で温度プロファイルの適否を判定することが重要である。基板や部品のめっきや材質・設計が絶えず変わる量産現場では画一的な数値管理による規格に基づくものでは不十分である(※この点については、(株)情報機構発行の『量産現場のための鉛フリー実装トラブル対策ハンドブック』も参照されたい)。

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