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成層圏から人間がマッハ1.2でスカイダイブ! 耐えろ米ソリッドワークスのプライベートイベントより(1/2 ページ)

気の遠くなるような高さから人間が超音速でダイブした! ――米国フロリダ州オーランドで開催中である米ソリッドワークスのプライベートイベント「SolidWorks World 2013」で、Red Bull Stratosを仕切った技術者らが登場し、その開発について語った。

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 米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(以下、ソリッドワークス)は、2013年1月21日(現地時間)より米国フロリダ州オーランドで同社のプライベートイベント「SolidWorks World 2013」を開催中だ。同イベントは23日まで開催する。今回の参加者は総勢5000人を超える見込みで、全世界50カ国から集まった。

 その最初のアジェンダとなる基調講演では同社ユーザー代表として、「Red Bull Stratos(レッドブル・ストラトス)」の設計開発を指揮した航空宇宙系メーカーの米Sage Cheshire Aerospaceの副社長で航空機エンジニアであるアート・トンプソン(Art Thompson)氏、同社エンジニア ジョン・ウェルズ(Jon Wells)氏が登場した。トンプソン氏は過去、B-2ステルス戦闘機などの開発に携わった。


(左)米Sage Cheshire Aerospaceの副社長で航空機エンジニアであるアート・トンプソン(Art Thompson)氏、(右)同社のエンジニアでカプセル(パイロットが乗り込む部分)開発に携わったジョン・ウェルズ(Jon Wells)氏

 Red Bull Stratosとは、成層圏レベルの高高度まで有人で気球飛行し、かつスカイダイビングも成功させるという人類未踏の領域に挑むミッションで、飲料メーカー Red Bull社がその活動を支援する。航空宇宙技術系の企業や医療関係者など総勢50人のメンバーで構成される比較的小規模な組織による開発プロジェクトとなっている。このミッションは、「高高度での安全性の発展に向けた情報収集」を目的とし、そこで得た技術成果は航空宇宙関連の民間企業へ提供する。

Red Bull Stratosのスカイダイビング

 同プロジェクトは実際、2012年10月14日(現地時間)に地上から約3万9000m(12万8000ft)までの飛行およびダイブに成功し、幾つかの世界記録も樹立。動力補助を使用せず、マッハ1.2という超音速レベルの落下は人類史上初の快挙となった。

 パラシュートを開くまでに、同プロジェクトのパイロット フェリックス・バウムガートナー(Felix Baumgartner)氏はクルクルと回ってしまい、落下時の制御面で問題が見られた。スカイダイビングの世界大会で幾度も入賞してきた熟練スカイダイバーであっても結構恐ろしい体験となったようだ。


気球内のパイロット

 例えばこの高度まで生身で行けば、人体は倍ほどに膨れ上がり、眼球は突出してしまうという……。その上、落下時にも超音速であるが故に相当なGも掛かる。そのような極めて過酷な状況からパイロットを守るため、信頼性が極めて高い宇宙服を用意する必要がある。メーカーは長年にわたりNASAに宇宙服を提供してきた企業を選定した。企業の説得に当たっては、このプロジェクトにおけるパイロットの人体への影響や安全性の検証結果を提示したという。

 成層圏まで揚がる気球の機体はSolidWorksを使って設計。その全長は228.6m(750ft)と巨大だ。


気球のカプセル部 設計データ

 プロジェクト開始からこの飛行まで約5年を費やした。なお開発初期や構想設計において、自分たちの思いがどれだけ込められるか、また検証しつくせるかが大事であることを講演で説いた。実際、プロジェクトの初期設計にはバウムガートナー氏からも積極的に意見してもらい、幾つかの設計案を検討していった。

 将来はさらなる高みを目指しチャレンジをしたいということだが、具体的な計画はこれからとのことだ。

 ちなみに尊い人命がかかり緊張極まりないプロジェクトに携わるメンバーを少しでもリラックスさせるため、余暇を使って皆で巨大な紙飛行機を製作した。子どもと一緒に取り組み、よい息抜きになったという。


巨大な紙飛行機を飛ばすプロジェクト

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