PC・スマホ連携が加速――スクリーンをカメラ撮影するだけで配布資料が手元に:映像媒介通信技術を応用
富士通研究所は、PCの画面を携帯電話機やスマートフォン/タブレット端末に搭載されているカメラで撮影するだけで、ファイル転送を可能にする技術を開発。2014年度中の実用化を目指す。
富士通研究所は2013年1月21日、PCの画面を携帯電話機やスマートフォン/タブレット端末に搭載されているカメラで撮影するだけで、ファイル転送を可能にする技術を開発したと発表した。
同技術は、2012年6月4日に富士通研究所が発表した「映像媒介通信技術」がベースとなっている。映像媒介通信技術とは、映像に微小な灯りを重畳し、その微小な灯りの数を増減させることにより光通信のような明暗を緩やかに発生させて情報を送信する技術のこと。
今回、この技術をPC向けに応用し、IPアドレスやSSID、もしくはそれらに関連付けされたIDなど、ネットワーク上のPCを識別するための通信情報を人の目に見えない信号に変換し、PCのデスクトップ画面に重畳。これにより、携帯電話機やスマートフォン/タブレット端末に搭載されているカメラでPC画面を撮影するだけで、被写体となったPCを特定できるようになる。
そして、PC側にインストールした専用ソフトウェアにより、被写体PCと撮影を行った携帯電話機やスマートフォン/タブレット端末(撮影端末)間の通信経路を自動的に確立し、PCの画面に表示されているファイルを撮影端末側へ自動転送してくれる。
PC側の専用ソフトウェアは、PCのデスクトップ画面の状況を監視・解析し、画面の最前面に表示されているファイルの情報を抽出。撮影端末からの要求が届くと、最前面に表示されているファイルをFTPSなどのセキュアなファイル転送プロトコルを利用して自動転送する。また、特定のPCを認識できるため、撮影端末側に保存してあるデータをPC側に転送することも可能だ。
同社は今後、PC画面から撮影端末側への通信速度を改善し、2014年度中の実用化を目指すとしている。この技術が普及すれば、会議中にスクリーンに表示されているプレゼン資料を複数のメンバーが同時にダウンロードしたり、スマートフォンで撮影した写真をPCへ転送したり、PCで読みかけの資料をスマートフォンに転送して外出先で閲覧したりといったことが、複雑なファイル操作なしに、カメラ撮影だけで実現できるようになる。
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