「自動化は困難」とされてきた精密部品の組み立て作業をロボットで、安川電機:FAニュース/産業用ロボット
安川電機は、同社の産業用ロボット「MOTOMAN」向けのオプション製品として、自動車部品(エンジン、クラッチ)、金型、電子部品などの精密な組み立て作業を実現する6軸力センサーユニット「MotoFit」を開発した。
工場の生産ラインでは産業用ロボットが数多く活躍している(関連記事1、関連記事2)。しかし、精密部品の組み立て作業は、その複雑さや要求精度の高さから「自動化は困難である」とされてきた。
一般的に、人手による精密部品の組み立ては、手先に伝わるわずかな反力を感じながら組み付け位置を探り、作業する必要がある。精密部品の組み立てにおいて、この手先の感覚というのは、視覚から伝わる情報よりも重要なものとされ、熟練のためには多大な時間を要する。こうした“熟練の技”を、ロボットで高精度・高速に再現できれば、作業の大幅な効率化が見込めるはずだ。
安川電機は2013年1月15日、同社の産業用ロボット「MOTOMAN(モートマン)」向けのオプション製品として、6軸力センサーユニット「MotoFit(モートフィット)」を開発したと発表した。
MotoFitは、精密な組み立て作業を汎用性の高い多関節ロボットで行うことを目的に開発されたもので、自動車部品(エンジン、クラッチ)、金型、電子部品などの精密な組み立て作業を主なターゲットとする。人手作業のノウハウをロボットに取り込むことで精密作業の自動化を実現するだけではなく、同時に取り扱うワーク(搬送・組み立ての対象物)の種類の拡大など、生産ラインの自動化・効率化を実現することができるという。
ロボットのアーム先端に、6軸方向からの力を検出することが可能な高精度センサーを組み込み、アームの先に取り付けられたハンドに伝わる微妙な力を検出することができる。これにより、繊細なセンシングが可能となり、ワークの「接触」「はめ合い位置の探り(反力が最小になる位置)」「挿入」の一連の動作を確実に行える。
MotoFitを搭載することで、高精度かつ高速なはめ合いを実現できる。同社は「すき間10μm(公差h7/H7)・深さ20mmの円柱形状の金属部品のはめ合いを“5秒”で行うことができる」とし、「業界最速」(同社)をうたう。また、MotoFitには、ワーク同士がかみ合って動かなくなるかみ付き現象を自動検知し、アームにゆっくりとした振動を与えることで、かみ付き状態を解消し、挿入を完了させる「かみ付き防止機能」や、ワークの材質・サイズ・重さにより変化する微細な力加減をロボットにティーチングできる「力覚制御パラメータ自動調整機能」なども備わっている。
MotoFitの販売開始は、1月21日を予定(オープン価格)。同社は、年間600セットの販売目標を掲げる。
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