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デジカメの顔検出を“無効化”するゴーグル「プライバシーバイザー」:人間とデバイスの感度の違いを利用したプライバシー保護(2/2 ページ)
国立情報学研究所(NII)の越前功准教授と工学院大学の合志清一教授は共同で、カメラの写り込みによるプライバシーの侵害を、被撮影者側から防止する技術を発表した。人間の視覚とカメラの撮像デバイスの分光感度特性の違いを利用したもの。今回、11個の近赤外LEDを搭載した「プライバシーバイザー」を開発した。
今回、顔検出の代表的なアルゴリズムであるViola-Jones法に着目し、矩形特徴(Haar-like特徴)の抽出を失敗させる効果的なノイズ光源の配置場所が目の周辺および鼻筋であると判断。市販のゴーグルをベースに、目の周辺に8個、鼻筋の周辺に3個の近赤外LEDを配置した。
プライバシーバイザーの近赤外LEDを非点灯にした場合は、通常のゴーグルを掛けているように見えるため顔検出に影響はなく、物理世界における人対人のコミュニケーションも阻害しない。一方、近赤外LEDを点灯した場合、カメラの撮像デバイスに近赤外線がノイズとして記録される。顔画像に付加されたこのノイズにより、顔認識の前処理に当たる顔検出を誤判定させることで、人物の顔認識を防止する。
(左)顔検出実行例:近赤外LED非点灯。緑色の四角い枠が表示されている(検出が成功している)ことが分かる。/(右)顔検出実行例:近赤外LED点灯。こちらは何も表示されていないので検出に失敗していることが分かる。
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