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リタイア続出! “魔の第1コーナー”で一体何が? 〜 ETロボコン2012チャンピオンシップ大会〜ETロボコン・リポート(3/3 ページ)

パシフィコ横浜で開催された「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)」のチャンピオンシップ大会(競技会)の模様を、多数の画像と動画を交えてリポートする!

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ショートカット走行を披露した「SDCバンビーズ」

 ETロボコンの競技フィールド上のコースには、ライントレース用の黒線が引かれている。そのため、この上を必ず走行しなければならないと思っている読者も多いと思うが、実はそんなルールはない。ベーシック・ステージでは、3カ所のゲートを指定の方向から通過してゴールすればよく、途中の経路は問われない(ただし、コース外を使ったショートカットは、障害物のあるのでほぼ不可能)。

 このルールを逆手に取ったのが「SDCバンビーズ」(佐賀電算センター)。同チームは1走目の第3コーナー付近でリタイアしていたが、2回目の走行前、メンバーが「奇抜な走りをしたい」と宣言。アウトコース側に置かれたロボットは、スタート直後、ラインをまたいで何とインコース側へ。

アウト側のSDCバンビーズがイン側に
アウト側のSDCバンビーズがイン側に来たため、コース上はこんなことに……。これも実はルール上はアリだ

 第1・第2コーナーは左カーブなのでそのまま走り、右カーブになる第3コーナー手前で再びラインを切り替え、本来のコースへ。同様に、第4コーナー手前でもラインを変え、常にコースの“イン側”を走るというショートカット走行で、距離の短縮に成功。その結果、今大会で最速となる20.5秒という走行タイムを記録した。

 このショートカット走行、ルール上は問題ないのだが、気をつけなければならないのは、もし相手ロボットに衝突した場合、走行妨害を取られ、失格になってしまうということ。ハイリスク・ハイリターン的な手法といえるが、アウト側スタートの場合は、イン側よりもスタート位置がかなり前にあるため、追突される恐れさえなければ、実施しやすい。

ショートカット
このようにショートカットする。イン側スタート時には約1秒、アウト側スタート時には約2秒短縮することが可能

 同チームは、イン側スタートの場合でもショートカット走行できる準備をしていたようだが、イン側スタートだと第3コーナー手前のライン変更時に相手ロボットと並んでいる可能性もあり、衝突する危険性が高い。相手ロボットの速さを事前に見極めておかないと怖くて使えない手法でもある。

ショートカット走行をするSDCバンビーズ(アウト側)。会場からはどよめきと喝采が起きた

来年の大会ではロボットのリモート操作も?

 ETロボコン2012チャンピオンシップ大会の結果は以下の通り。競技部門で5位、モデル部門でA評価を受けた「HELIOS」が総合優勝し、以下、競技6位、モデルB+の「Superくろしお」が2位、競技4位、モデルB+の「R-GRAY BLACK」が3位と続いた。

順位 チーム名 所属
優勝 HELIOS アドヴィックス
準優勝 Superくろしお 三菱電機メカトロニクスソフトウエア
3位 R-GRAY BLACK ソフトウェアコントロール 西日本事業部
表2 総合順位

順位 チーム名 所属
1位 猪名寺駅前徒歩1分 三菱電機マイコン機器ソフトウエア
2位 AT車限定 〜あとす〜 富士ゼロックスアドバンストテクノロジー
3位 SOROT☆FCSK 福岡CSK
表3 競技部門

順位 チーム名 所属
Excellent みらいまーず 富士ゼロックス
Gold Model HELIOS アドヴィックス
Silver Model 一番町プロジェクト NECソフトウェア東北
表4 モデル部門

星光行氏
競技後の表彰式で総評を述べるETロボコン2012実行委員長の星光行氏

 今回、ベーシック・ステージの完走率が低かったことについて、ETロボコン2012実行委員長の星光氏は「皆さんに大きな試練を与えてしまった」と言及。「しかし、その中でも、ちゃんと走ったチームはいる。現場でいろんなことが起こるのが組み込み。いかにしてロバスト性を上げていくかも非常に大事な要素なので、ちゃんと情報をシェアして、日本の技術力向上に役立ててほしい」と期待を述べた。

 なお、技術委員長を務める小林靖英氏によれば、次回のETロボコンでは、自律制御ではなく、人間が遠隔操作するような新しいコンセプトの部門を作ることも検討しているとか。新たな10年が始まったETロボコンがどう進化していくのか、今後も楽しみなところだ。

Embedded Technology 2012特集
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筆者紹介

大塚 実(おおつか みのる)

PC・ロボット・宇宙開発などを得意分野とするテクニカルライター。電力会社系システムエンジニアの後、編集者を経てフリーに。最近の主な仕事は「人工衛星の“なぜ”を科学する」(アーク出版)、「小惑星探査機「はやぶさ」の超技術」(講談社ブルーバックス)、「宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業Vol.1」「宇宙をつかう くらしが変わる 日本の宇宙産業Vol.2」(日経BPマーケティング)など。宇宙作家クラブに所属。

Twitterアカウントは@ots_min



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