ニュース
東芝やキヤノンが優位、微細加工技術の「ナノインプリント」:知財ニュース(2/2 ページ)
数十nm単位の微細加工に適した技術「ナノインプリント」。ある種の印刷技術を使って樹脂表面などに微細なパターンを転写する米国の大学発の先進技術だ。同技術の特許出願状況を調査したパテント・リザルトによれば、強い特許を持つ上位5社の中に、日本企業として東芝、キヤノン、富士フイルムが入った。
特許出願傾向が増加中
ナノインプリントの研究開発は「隠れている」ようだ。パテント・リザルトによれば、同技術はニュースとしての関心がそれほど高まっていない。しかし、特許出願状況はニュースの数とは全く違う傾向を示しているのだという(図2)。図2を見ると、特に審査中の特許の本数の伸びが目を引く(2010年以降の出願は一部しか公開されていない)。
このような伸びを支えているのが、東芝と富士フイルムの出願だという(図3)。
技術動向はどうなっている
パテント・リザルトは上位5社の技術動向についても調査した。特許庁のテーマコード分類を使った調査だ(図4)。
図4 企業ごとの注力分野の推移 東芝と富士フイルムが当初注力していた3つのテーマコードに赤い下線を引いて示した。近年ではテーマコードの先頭に示された5F146(円グラフの12時から時計回りに示されたシアン色の部分)の比率が高まっている。他方、富士フイルムは6番目(4J100)と8番目(2H125)の比率が高い(クリックで拡大)。出典:パテント・リザルト
図4にあるように、東芝と富士フイルムは、当初、ナノインプリント技術を磁気記録媒体(DTM、BPM)の製造プロセスとして捉えていたようだ(図4にある5D006、5D074、5D112)。しかし、これらの分類に入る出願は減っており、半導体露光用途(5F146)が増えている。
一方、富士フイルムは樹脂材料(4J100、2H125)が増えている(図5)。
パテント・リザルトは、今回の分析について詳細にまとめた複数のリポート資料を販売している。
より深く知的財産管理を学ぶには?:「知財マネジメント」コーナーへ
知財マネジメントの基礎から応用、業界動向までを網羅した「知財マネジメント」コーナーでは、知財関連の情報を集約しています。併せてご覧ください。
関連キーワード
知財で学ぶエレクトロニクス | 特許 | 出願 | 知的財産 | 富士フイルム | 東芝 | 知的財産管理 | キヤノン | ASML | 知財ニュース(製造マネジメント) | 知財コンサルタントが教える業界事情 | 自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識 | プリンテッドエレクトロニクス | 研究開発
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 実用化はどこまで? プリンテッド・エレクトロニクス業界の開発競争を読む
印刷技術を応用した回路・センサー・素子製造の技術はどこまで進展しているか? 各国がしのぎを削る開発競争を見る。 - 1Tビット/平方インチ超えを目指すHDD、パターニング技術導入が不可欠
HDD業界では2年〜3年先を視野に入れて技術開発を進めるが一般的であるものの、1Tビット/平方インチという壁を越えるには、これまでの技術の延長ではない、大きな技術革新が必要となるだろう。