フリースケールが4コアの車載マイコンを開発、ISO26262対応と高性能化を両立:車載半導体
フリースケールは、大手ティア1サプライヤであるContinental向けに、4個のプロセッサコアを搭載する車載マイコンを開発した。電子ブレーキシステムに求められる、ISO 26262対応と高性能化を両立した製品となっている。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(以下、フリースケール)は2012年12月5日、4個のプロセッサコアを搭載する車載マイコンを開発したと発表した。
この車載マイコンは、大手ティア1サプライヤであるContinental向けのカスタムマイコンファミリ「QUASAR(Quad-core microcontroller for Automotive Safety And Reliability)」の第1弾製品である。自動車向け機能安全規格であるISO 26262で最も安全要求レベルが高いASIL-Dを要求されることが多い、電子ブレーキシステム向けとなっている。
プロセッサコアは、フリースケールの車載マイコンファミリ「Qorivva」と同様に、Power Architectureの「e200z4」を用いている。4個のe200z4コアを搭載することで、ISO 26262のASIL-Dへの対応で必要になる、2個のプロセッサコアが互いの動作を監視するデュアルロックステップ構成(関連記事)を、2ペア利用できるようになる。つまり、ISO 26262のASIL-D対応と、車載マイコンの高性能化を両立できるわけだ。
この他、容量4.75Mバイトのフラッシュメモリや、同256KバイトのSRAMに加えて、Continentalの持つフェイルセーフ技術などを集積している。
4コアのQUASARの製造プロセスは、最先端のQorivvaと同じく55nmである。しかし、今後のロードマップでは、40nmプロセスを用いて、性能とメモリ容量を2倍に向上した製品も予定されているという。
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