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太陽光発電を改善する、新材料でパワコンの効率98%以上へスマートグリッド(1/2 ページ)

安川電機が、小型かつ高効率なパワーコンディショナー(パワコン)を試作した。シリコン(Si)パワー半導体を用いた従来品に対して、体積を2分の1以下に抑え、実用域での変換効率を98.2%に高めた。このような改善が可能になったのは、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を採用したためだという。

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パワーコンディショナー

 太陽光発電システムからより多くの電力を得るにはどうしたらよいだろうか。変換効率の高い太陽電池モジュールを利用する以外にも方法はある。太陽電池の出力する直流(DC)を家庭内や系統で使う交流(AC)に変換する部分の効率改善だ。変換を担うパワーコンディショナーと呼ばれる装置の改良である。

 安川電機は、パワーコンディショナーに窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を採用することで、変換効率の課題に答えを出した。今後2年間をかけて、GaN素子の信頼性とパワーコンディショナーのシステム信頼性を確立し、最適な量産設計に基づいた製品として出荷する予定だ。

パワコンではSiCよりもGaN

 GaNパワー半導体の実用例はまだまだ少ない。「試作品とはいえ、実仕様の家庭用パワーコンディショナーにGaNパワー半導体を採用したのは当社が世界初だ」(安川電機)。パワーコンディショナーのように600V程度の電圧が掛かる用途ではシリコン(Si)を用いたIGBT素子が主流である。なぜGaNを選んだのか。

 「IGBTを採用した従来のパワーコンディショナーと比較して、2分の1という小型化(高いパワー密度)、さらに98%という高い変換効率、この2つの改善を目標としている。小型化のためにはスイッチング周波数を高める必要があり、周波数を高めたときに、より変換効率が改善できるパワー半導体を求めた結果、GaNを選択した。このような用途では、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体よりも、GaNパワー半導体の方が有利だと判断した」(安川電機)。

 GaNパワー半導体を採用し、スイッチング周波数を50kHzに高めたことで、体積を従来比で2分の1以下の10.5Lまで小型化できた(図1)。この体積は、ヒートシンクや筐体を含んだ値である。体積パワー密度は429W/Lという計算になる。


図1 試作したパワーコンディショナーの外観 太陽電池モジュールが出力する直流(DC)を入力し、DC-DC、DC-AC変換を行って交流を出力する装置だ。250V直流を入力し、200V単相交流を出力する。定格容量は4.5kW。GaNパワー半導体の耐圧は600Vだという。出典:安川電機

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