アルテラが車載分野への本格展開を宣言、年率20%以上の売上高成長を見込む:車載半導体(2/2 ページ)
FPGAベンダー大手のアルテラが、日本市場での車載展開を本格化させる。日本アルテラ社長の日隈寛和氏は、「車載分野専任の営業、技術サポート、マーケティングなどの人員がそろい、販売代理店としっかり連携できる体制がついに整った。これからは車載分野で積極的に展開を進めていく」と宣言した。
電池管理システムに適用可能、ISO 26262対応も視野に
3つ目に挙げたのは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載される大容量二次電池パックの電池管理システムである。大容量二次電池パックを構成する数十〜100個以上の二次電池セルの充電状態を管理するには、それらの信号を扱うための複数の入出力が必要になる。こういった複数の入出力を構成する用途ではFPGAが最適だという。Waters氏は、「太陽光発電システムの電力変換回路にはFPGAが採用されているので、EVやHEVの電力制御ユニットにもFPGAを適用できるだろう」と述べている。
さらに、運転支援システムや電池管理システム向けの展開とからめて、自動車向け機能安全規格であるISO 26262の第三者認証を取得する方針も明らかにした。アルテラは、ドイツのTUV Rheinlandから、一般機能安全規格であるIEC 61508の第三者認証を取得している。「2013年中にはISO 26262の第三者認証を取得する」(Waters氏)計画だ。
アルテラが車載分野で展開するPLD/FPGA製品は以下の通り。低価格、低消費電力の用途にはcPLDの「MAXシリーズ」や、普及価格帯のFPGA「Cyclone I」〜「Cyclone IV」を展開する。一定の性能を要求する用途には28nmプロセスを採用した「Cyclone V」を向ける。ASICが必要な顧客には、ストラクチャードASIC「HardCopy ASIC」を用意している。さらに、メインプロセッサの機能とFPGAのプログラマブルな機能を統合させたい場合には、SoC FPGAの1つである「Cyclone V SoC」を提案する。「SoC FPGAの先行ユーザーには、大手の電装部品メーカーも入っており、順調に行けばそれほど遠くない未来にSoC FPGAを使った車載システムが登場するだろう」(Waters氏)という。
なお、これらの製品は全て、車載ICの品質規格であるAEC-Q100に準拠しており、動作温度範囲は−40〜125℃である。将来的には、上限温度を150℃まで拡張した製品の投入も検討している。
Waters氏は、「BCP(事業継続計画)の観点でもアルテラのPLD/FPGAは問題ない。ウェーハ製造工場はTSMCの3拠点で製造しており、パッケージング、テストも2拠点に分けている。車載システムのライフサイクルを上回る15年以上もの期間、製品供給の継続をコミットしていることもポイントになる」と述べている。
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