「Simulinkのリリース以来、最も大きな変更となった」――MathWorksが「R2012b」の新機能を説明:MATLAB/Simulink
The MathWorksはユーザーカンファレンス「MATLAB EXPO 2012 JAPAN」の会期中、日本のプレス向けにMATLAB/Simulinkの最新バージョン「リリース2012b」の新機能に関する説明会を開催した。
The MathWorksは2012年10月30日、ユーザーカンファレンス「MATLAB EXPO 2012 JAPAN」を開催。2つの基調講演と、テクニカルコンピューティング、信号処理、通信、画像、制御設計に関する数多くのセッションおよび展示デモを展開し、日本全国から集まる1000人以上のMATLAB/Simulinkユーザーに向け、最新機能やソリューション、ユーザー事例などを発信した。
同日、The MathWorksは日本のプレス向けに、同年9月12日(米国時間)に発表したMATLAB/Simulinkの最新バージョン「リリース2012b(以下、R2012b)」の新機能に関する説明会を実施。本社 コンサルティング担当ディレクターのPaul Smith(ポール・スミス)氏が、主要アップデートである「Simulinkエディタ」および「MATLABデスクトップ」を中心に、“使い勝手が向上”したR2012bの強化ポイントを説明した。
「Simulinkに新しく追加されたSimulinkエディタにより、SimulinkやStateflowを用いたモデルの構築や管理、ナビゲート、シミュレートが容易になった。一方のMATLABは、MATLABデスクトップにより、自分が使いたい機能などを簡単に探し出す(呼び出す)ことができるようになった。今回のバージョンアップは、ユーザーに多くの利益をもたらすだろう」(Paul氏)。
Simulinkの強化ポイント
近年のSimulinkユーザーは、数百万ブロック規模の非常に大型のモデルを取り扱う傾向にあり、世界各地にいる数百人ものエンジニアが、協調・連携しながら設計を行っている。そのため、大きなモデルの中から主要なセクションを見つけ出したり、モデルの中を探索したりするためのツールが求められているという。
そこで、Simulinkエディタではモデルの中の階層を上下に簡単に移動・探索することができる「Explorer Bar」を導入し、画面上で自分がモデルのどの部分を見ているのかが常に分かるようになった。さらに、従来バージョンのように、モデルを確認するたびに画面上に複数のウィンドウが立ち上がるのではなく、「スクリーンサイズを気にすることなく、Webブラウザのように“タブ”で切り替えて表示することが可能になった」(Paul氏)。
他にも、Simulinkエディタには、Simulinkによる設計の際、信号線の最適経路をマニュアル操作なしに、自動的に決定してくれる「Smart Signal Routing」と呼ばれる機能やステートダイヤグラムを効率良くきれいに作成できる新しい「Stateflow Editor」、シミュレーションの巻き戻しと、信号への条件付きブレークポイントの設定を可能にする「Simulation Stepper with Breakpoints」が備わる。さらに、新バージョンでは、プロジェクトファイルの管理とソース管理ソフトウェアへの接続のための「Simulink Projects」の導入、安価なターゲットハードウェア(Arduino、LEGO Mindstorms NXT、BeagleBoard、PandaBoardなど)上でのモデル実行がサポートされている。
MATLABの強化ポイント
MATLABに関しては、MATLABデスクトップにより、“ルックアンドフィール(デザインや操作感)”を強化し、使いたい機能がすぐに見つけられるようになったという。
「長年、われわれは多くの新機能の追加や強化を進めてきた。しかし、同時に、多くのユーザーがそれらの機能をすぐに見つけることができないという課題を抱えていた。そこで、今回の新バージョンでは『自分がほしいと思う機能を簡単に見つけることができる』ようデスクトップを一新。これにより、生産性の向上が期待できる」(Paul氏)。
MATLABデスクトップでは「MATLAB Toolstrip」が導入された。よく利用する機能をメニュー上に簡単に整理・配置でき、各機能へのアクセス性を向上させた。さらに、MATLABプロダクトファミリのアプリケーションを一覧できる「Apps Gallery」が導入され、従来のようにコマンドで呼び出すことなく、アイコン一覧から機能を呼び出すことができるようになった。その他、ユーザーが作成したMATLABアプリケーションをApps Galleryに追加するためのパッケージ化機能や共有機能、固定幅テキストファイルおよび区切り記号付きテキストファイルからのデータインポート機能、コマンドウィンドウでの関数や変数のタイプミスを修正する機能などが追加された。
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