音声の方向を検知する指向性マイク、助手席や後部座席でもハンズフリーが可能に:CEATEC 2012
ホシデンは、「CEATEC JAPAN 2012」において、音声の方向を検知する指向性マイク「オートビームフォーミングマイクロホン」の試作品を展示した。2014年春から車載用途での量産を始める予定。
ホシデンは、「CEATEC JAPAN 2012」(2012年10月2〜6日、幕張メッセ)において、音声の方向を検知する「オートビームフォーミングマイクロホン」の試作品を展示した。2014年春から車載用途での量産を始める予定だ。
このマイクロホンは、4個以上の集音デバイス(圧電方式のマイクロホン)を組み合わせたモジュール部品である。DSP処理によって、どの方向からマイクロホンに向かって音声が伝わっているかを検知し、その方向に指向性を持たせて騒音の少ない状態で集音する機能を備えている。集音時に指向性を持たせる方向は、同マイクロホンの周囲360度を8分割したエリアから選択する。
「オートビームフォーミングマイクロホン」のデモの様子。下側の中央に設置されたマイクロホンの周囲を、音声を出力しているICレコーダが回っている。マイクロホンが検知した方向は、上側にあるノートPCの画面に表示される。(クリックで拡大)
マイクロホンの周囲の複数箇所から音声が伝わる場合には、最も音量の大きい音声の方向に指向性を持たせて集音する。このため、参加者の多い会議の内容を録音する際に、このマイクロホンを会議室内の中央に設置すれば、発言者の会話だけを自動で集音し、他の参加者の雑談など不必要な音声を集音せずに済むという。
同マイクロホンを自動車に搭載すれば、ドライバーだけでなく、助手席や後部座席の乗員の音声も集音できる。指向性を持たせられるので、走行中の騒音や振動ができるだけ少ない状態で音声を集音して、誤認識を避けやすくすることも可能だ。
欧米市場の車載情報機器は、音声認識によってハンズフリー操作を実現している製品が数多く登場している(関連記事)。日本市場の車載情報機器でも、Appleのスマートフォン「iPhone」に採用されている音声エージェント「Siri」などの影響を受けて、音声認識機能の搭載が広がる可能性は高い。
オートビームフォーミングマイクロホンを使えば、車載情報機器の音声認識機能を、車室内にいる全ての乗員が利用できるようになる。
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