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NECが「5V級」リチウム電池を開発、容量30%増スマートグリッド 二次電池(2/2 ページ)

リチウムイオン二次電池に求められているのは、大容量と軽量化だ。NECは電池の正極材料と電解液を工夫することで、大容量で軽い電池の開発に成功した。実現のカギはニッケルとフッ化物だ。

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高電圧化にも成功

 電池を利用する場合、機器に必要な電圧を得るために直列に接続することが多い。リチウムイオン二次電池の平均放電電圧は3.6〜3.8Vであるため、例えば機器内で10Vが必要な場合は、3個程度直列に接続する必要がある。

 NECが開発した正極材料を利用すると、電圧が4.5V以上になるため、2個で済む。同じエネルギー密度であれば、電圧が高い電池の方が有利だ。電池数が減るため、電池管理システムの規模も小さくて済む。Ni2+とNi4+というニッケルの価数変化を利用して、電圧を高めた。

 従来、電圧を高めようとすると、リチウムイオンの移動に用いる溶媒(電解液)の分子構造が壊れてしまうという問題があった。正極表面で溶媒が酸化、分解し、ガスが発生してしまう。寿命も短くなってしまっていた。

 このためNECは高電圧に耐えるフッ素化溶媒を併せて開発した。従来のカーボネート系溶媒と比較すると、特に高温時の特性が改善されたという。45℃下で500サイクルの充放電試験を実行したところ、従来の電池セルではガスが発生し、膨れ率は2倍以上に達していたが、フッ素化溶媒を利用した新セルでは膨れ率を10%に抑えることができたという(図3)。


図3 新材料を採用した電池の特性 積層ラミネート型セルを対象としたサイクル試験(500回)の結果を示した。上段は容量維持率、下段は体積変化を示す。サイクル試験では100mAhのセルと3Ahのセルを利用した。出典:NEC

電気自動車に向けてさらに寿命が必要

 フッ素化溶媒を利用した電池の容量は、500回後でも初期容量の80%を維持でき、45℃下でも60%を保った。

 同社によれば、今回の新正極材料と新溶媒を用いたリチウムイオン二次電池の製品化時期は、2年後がめどだという。「電気自動車に新電池を利用するには数千〜数万サイクル後であっても高い容量を維持しなければならない。新電池は500サイクルまでの容量維持を達成した段階であるため、2年後はまず電気自転車などの用途から市場に入っていきたい」(NEC)。


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