努力しなくても節電できる、だが白物家電は「難しい」:スマートグリッド(3/4 ページ)
家庭に導入が進むHEMS(Home Energy Management System)の最終目的は、ライフスタイルに合わせた電力の使い方を実現しつつ、需要側で「自動的に」電力消費量を抑えることだ。現在のHEMSはまだまだ初歩的な段階にあるが、実現しやすいこと、難しいことが次第に分かってきた。
家電の制御は「難しい」
AiSEGでは2つの機能をうたう。まず、家電の消費電力の見える化、次に家電の電力制御だ。見える化を実現しやすくするため、家庭に設置済みの配電盤をそのまま使えるシステムとした。家電の制御には920MHz帯の特定小電力無線(図3)を使い、ホームネットワークを対象にした通信プロトコルであるECHONET Lite(次ページの囲み記事参照)を採用した。
家電の消費電力を監視、制御する機能がAiSEGの目玉だ。「一時的な出力が大きいIHクッキングヒーターと、家庭内の消費電力量に占める割合が大きなエアコン、給湯にまず注目した」(岡村氏)*3)。IHクッキングヒーターに対してはピーク制御を施し、エアコンは自動制御を目指した。給湯ではエコキュートと太陽光発電システムの機器間連携を実現する。この3つが現時点のAiSEGの機能だ(図4)。
*3) 家庭で消費電力が大きい器具がもう1つある。照明だ。白熱灯からLED照明への切り替えの効果がHEMSの適用以上に大きいこと、HEMSと通信するための機能を追加すると、照明器具の価格に占める比率が大きくなりすぎることから、今回はAiSEG対応を見送ったのだという。
ユーザーがあらかじめ定めた最大消費電力と、家庭内の消費電力を5秒に1度比較し、IHクッキングヒーターの出力を調整する(火力を落とす)機能が肝だ。「IHクッキングヒーターは調理器具であるため、音声メッセージでユーザーに火力が下がることを伝える設計にした。調理中はIHの前から離れないと考えており、調理時間を延ばすなどの対応ができるはずだ」(岡村氏)。給湯については、過去の電力使用情報を参照して、太陽光発電システムの余剰電力でエコキュートを自動沸き増しできる(図5)。インターネット接続が利用できる場合は、天気予報も参照するという。
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