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デンソーなど3社が6インチSiCウェーハを開発、EVなどの大容量インバータに最適車載半導体

デンソー、昭和電工、豊田中央研究所の3社は、欠陥数を従来比で10分の1に削減した6インチSiCウェーハの開発を進めている。欠陥数の削減により、電気自動車(EV)などの大容量インバータに適した、電流容量の大きいSiCデバイスを歩留まり良く製造できるのが特徴だ。

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 デンソー、昭和電工、豊田中央研究所の3社は、次世代パワー半導体であるSiC(シリコンカーバイド)デバイスのコスト低減に必須とされる、直径6インチ(150mm)のSiCウェーハを開発している(関連記事)。SiCデバイスの量産時の歩留まり(良品率)や電流容量を向上するために、ウェーハ表面の欠陥数を従来比で10分の1に削減していることが特徴。2015年以降に、この6インチSiCウェーハを用いたSiCデバイスの量産を目指す。

 SiCウェーハからSiCデバイスを製造する際に、最大の問題となるのがウェーハの表面についている微小な欠陥である。欠陥のある部分に作り込んだSiCデバイスは、欠陥のない部分に作り込んだSiCデバイスよりも不良品になる確率が高い。このため、欠陥の数が多いSiCウェーハを用いてSiCデバイスを製造すると歩留まりが低下してしまう。

 電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されている、電力容量が数10k〜100kWクラスのインバータには、100A以上の電流容量を持つSiCデバイスが必要になる。こういった電流容量の大きいSiCデバイスを製造する場合にも、SiCウェーハの欠陥数が大きく影響する。これは、SiCデバイスの電流容量を大きくするには、デバイス1個当たりの面積を広くとる必要があるためだ。欠陥数の多いSiCウェーハ上で面積の大きなデバイスを製造すれば、より面積の小さなデバイスを製造するよりも、デバイス内に欠陥が存在する可能性は高くなるので、歩留まりは低下してしまう。

 デンソーら3社は、6インチSiCウェーハを製造する際に、この欠陥を大幅に削減する技術の開発にめどを付けた。現在、市販されているSiCデバイスの電流容量は5〜10A程度だが、この6インチSiCウェーハを使えば約20倍の100〜200Aの電流容量を持つSiCデバイスを高い歩留まりで量産できるという。

EVやHEV向けで優位性を確保

 現時点で一般的に入手可能なSiCウェーハは、直径が4インチ(100mm)のものである。これと比べて、6インチSiCウェーハであれば、1枚のウェーハから2倍以上の数量でデバイスを製造できるので、SiCデバイスのコストを大幅に削減可能である。

 この6インチSiCウェーハの開発や量産では、米国の化合物半導体メーカーであるCreeや、新日鉄マテリアルズなどが先行している。デンソーら3社は、欠陥を大幅に削減する技術により、EVやHEVのインバータに必要な電流容量の大きいSiCデバイスの量産性で優位性を確保したい考えだ。

 なお、今回の開発成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」の一部となっている。

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