「プリウスPHV」と電力網をPLCで接続、充電効率化を目指しトヨタが米国で実験:電気自動車
トヨタ自動車は、2013年初頭から、米国インディアナ州で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)への充電に関する実証実験を始める。EVやPHEVと電力網を電力線通信(PLC)によって双方向で通信接続し、充電による電力網への負荷の平準化や、充電コストを低減できるような充電設定の自動化などについて調査する。
トヨタ自動車は2012年8月22日、米国インディアナ州で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)への充電に関する実証実験を始めると発表した。EVやPHEVへの充電によって発生する電力網に対する負荷の平準化や、利用時間帯によって電気料金が変動する制度に合わせて充電コストを低減できるような設定について調査する。期間は2013年初頭から1年間。
この実証実験は、米国の大手電力企業Duke Energy(デューク・エナジー)と、NPO法人のEnergy Systems Network(エナジー・システムズ・ネットワーク)と共同で行う。米国自動車技術会(SAE)が策定している、EVやPHEVと電力網の間で双方向のデジタル通信を行うための規格を用いる。これにより、需給状況に応じて電力消費を調整するデマンドレスポンスを使って電力網の負荷を平準化したり、充電コストが最も安くなるように自動的に充電設定を行ったりする仕組みの確立を目指す。
実証実験は、デューク・エナジーが電力を供給しているインディアナ州インディアナポリス市の一般家庭5世帯に、PHEV「プリウスPHV」を1台ずつ貸与する。併せて、充電スタンドと、電力網と通信するための機器も1台ずつ設置する。この通信機器によって、プリウスPHVと電力網の間を双方向で通信させることで、プリウスPHVに最適な充電が行えるような管理やモニタリングが可能になるという。通信機器の性能評価や充電管理システムの動作検証も並行して進める。
コンボと同じ通信規格を採用
今回の実証実験では、電力線通信(PLC)の1種であるHomePlug GreenPHYによって通信を行うことになる。欧州でも、EVやPHEVと、充電器や電力網の通信規格としてHomePlug GreenPHYの採用を検討している。
HomePlug GreenPHYは、米欧8社の自動車メーカーが提案している普通充電と急速充電の両方を1個の充電コネクタで行う「Combined Charging System(コンボ)」において、EVやPHEVと充電器をつなげるための通信規格としても利用されている(関連記事1)。
トヨタ自動車が、2012年末から愛知県豊田市で始める「V2H(Vehicle to Home)システム」の実証実験において、プリウスPHVと住宅の間で電力を相互に供給する際の通信にも、HomePlug GreenPHYを用いる予定である(関連記事2)。
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