電力供給型「プリウスPHV」と住宅の通信は欧州方式? 充電器の専用信号線を活用:電気自動車
トヨタ自動車の電力供給型「プリウスPHV」は、住宅との通信に、普通充電器の専用信号線を活用した通信方式を採用する計画だ。同方式は、欧州自動車工業会(ACEA)が、電気自動車(EV)と充電器の通信に採用を予定しているものと同じである。
トヨタ自動車は2012年末から、電力供給が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」と住宅の間で電力を相互に供給できる「V2H(Vehicle to Home)システム」の実証実験を行う計画である(関連記事)。このV2Hシステムで、プリウスPHVと住宅の間で電力をやりとりするには、プリウスPHVの充電状態や住宅の電力使用状況などに関する情報を、何らかの形で相互に通信する必要がある。では、その通信方式とはどのようなものなのだろうか。
現在、V2Hシステムのようなスマートハウスの通信方式としては、IEEE 802.15.4(ZigBee)などの低消費電力の無線通信や電力線通信(PLC)などが提案されている。これらに対して、プリウスPHVとV2Hシステムは、HomePlug Powerlineアライアンスが策定した「HomePlug Green PHY on CPLT/PE」という通信方式の採用を予定している。同方式は、電力線通信を推進している同アライアンスが策定しているものの、通信に電力線そのものを使用していない。CPLT(Control Pilot Line)と呼ばれる、普通充電器の専用信号線を使って通信を行っているのだ。
HomePlug Green PHY on CPLT/PEは、欧州自動車工業会(ACEA)が、電気自動車(EV)用充電器に採用する通信方式として知られている。プリウスPHVとV2Hシステムの通信では、このHomePlug GreenPHY on CPLT/PEをベースに、より高速の通信を行うための工夫が加えられている。
現在、EV用の充電規格では、日本の自動車メーカーが推進する「CHAdeMO」と、米国とドイツの自動車メーカーが推進する「Combined Charging System(コンボ)」が競合している。HomePlug Green PHY on CPLT/PEの親規格であるHomePlug Green PHYは、コンボにおけるEVと充電器の通信方式として採用される予定だ。
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