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東芝がジスプロシウム不使用のモーター用磁石を開発、2012年度末に市場投入電気自動車

東芝は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)、鉄道、産業用機器などに使用される大出力モーター向けに、ジスプロシウムを全く使用しない「高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石」を開発した。2012年度末の市場投入を目指す。

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 東芝は2012年8月16日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)、鉄道、産業用機器などで使用される大出力モーター向けに、ジスプロシウムを全く使用しない「高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石」を開発したと発表した。通常のサマリウム・コバルト磁石よりも鉄の配合量を増やして熱処理条件を工夫することで、現行の大出力モーターに用いられているジスプロシウムを添加した耐熱型ネオジム磁石と同等以上の磁力(磁束密度)を確保したという。2012年度末(2013年3月)までの市場投入を目指す。販売は子会社の東芝マテリアルが担当する。

 ネオジム磁石は大きな磁力を持つものの、高温になると磁力が大幅に低下するという問題がある。このため、大出力モーターのように100℃以上の高温環境向けには、ネオジムの一部をジスプロシウムに置き換えることで高温になっても磁力を下がりにくくした、耐熱型ネオジム磁石が広く利用されている。

 EVやHEV、鉄道、産業用モーターなど向けに耐熱型ネオジム磁石の需要は増加している。その一方で、中国の輸出規制などによりジスプロシウムの価格高騰が続いていることもあり、100℃以上の高温環境で耐熱型ネオジム磁石と同等の磁力を持つ磁石の開発が求められていた。

 今回の高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石は、ネオジム磁石より磁力は小さいものの、高温になっても磁力が大幅に低下しないサマリウム・コバルト磁石をベースに開発した。既存のサマリウム・コバルト磁石には15%程度(重量比)の鉄が配合されているが、開発品は20〜25%まで鉄濃度を高めた。そして、焼結時の温度、時間、圧力を最適化するなど熱処理条件を工夫し、鉄濃度を高めた場合に磁力を阻害する要因になっていた酸化物や銅濃度の高い相の低減に成功した。

 実際に、鉄濃度20%の開発品を用いたモーターは、耐熱型ネオジム磁石を用いたモーターと同じサイズで、同等の性能を持つことを確認したという。

 なお、今回の開発では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業」の成果が活用された。同事業に採択された東芝の研究テーマは「Dy(ジスプロシウム)フリー磁石とそれを用いた高効率HEV/EVモータの開発」という名称になっている。

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