ルノーがLG ChemとEV用電池で提携、「ZOE」は日産製電池を採用せず:電気自動車
ルノーとフランス原子力庁は、電気自動車(EV)用次世代電池の量産開発でLG Chemと提携すると発表した。LG Chemは、このEV用次世代電池の工場をフランス国内に建設するとともに、同工場で2015年末からEV用電池の現行品の量産を開始する。ルノーが2012年末発売予定の小型EV「ZOE」も、LG Chem製の電池を採用することが明らかになった。
Renault(ルノー)とフランス原子力庁(CEA)は2012年7月27日(欧州時間)、研究を進めていた電気自動車(EV)用次世代電池の量産開発でLG Chemと提携すると発表した。LG Chemは、このEV用次世代電池の工場をフランス国内に建設するとともに、同工場で2015年末からEV用電池の現行品の量産を開始する。EV用次世代電池の量産は2017年前半に始める計画だ。2012年9月に、3者の間で正式契約を結ぶ予定だ。
LG Chemは、EV用次世代電池の量産化技術開発への貢献が期待されている。ルノーとCEAは、EV用リチウムイオン電池で有力なLG Chemの工場を誘致することにより、フランス国内における経済的価値と雇用、EV技術で世界をリードする地位を獲得できるとしている。
日産のEV用電池量産計画は?
ルノーと日産自動車のアライアンス(ルノー・日産アライアンス)は2009年11月、日産自動車の子会社であるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)の技術をベースにしたEV用電池工場を、2012年半ばまでにルノーのフラン工場に建設する計画を発表していた。しかしルノーは2011年7月、建設計画の2014年までの延期を表明。さらに2011年9月には、日産自動車がルノーのフラン工場を借り上げて、EV用電池を単独で生産する方針に転換したと報道されていた。
この頃まで、ルノーが2012年末に出荷を予定している小型EV「ZOE」の電池は、AESCの技術がベースになると考えられていた。しかし2012年7月上旬には、LG ChemがZOEの電池を供給することが明らかになった。なお、現在ルノーが販売中のEVの電池については、小型商用車「Kangoo Z.E.」とセダン「Fluence Z.E.」向けはAESCが、2人乗りの超小型車「Twizy」向けはLG Chemが供給している。
今回の発表により、ルノーはLG ChmeとEV用電池の開発と量産で強固な提携を結ぶことになる。これにより、日産自動車が計画していた、ルノーのフラン工場におけるEV用電池の生産がどうなるかが注目される。
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