チッソの事業継承会社と仏原子力庁、車載Liイオン電池の負極材料を共同開発へ:電気自動車
チッソの事業継承会社であるJNCは、フランス原子力庁(CEA)の新エネルギー技術研究部門(LITEN)と車載リチウム(Li)イオン電池向けの負極材料と電極の共同開発を始める。
チッソの事業継承会社であるJNCは、フランス原子力庁(CEA)の新エネルギー技術研究部門(LITEN)と、車載リチウムイオン電池の容量を向上できる新たな負極材料と電極の共同開発を始めると発表した。
電気自動車やハイブリッド車向けに需要が拡大している車載リチウムイオン電池は、満充電からの走行距離の拡大や軽量化のために、さらなるエネルギー密度の向上が求められている。車載リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上する上で、最も実用化が近いと考えられているのが負極材料の改良である。
現在、車載リチウムイオン電池の負極材料は、黒鉛(グラファイト)やハードカーボンなどの炭素系材料が用いられている。これらの炭素系材料よりも高いエネルギー密度を実現可能で、既に民生用機器向けのリチウムイオン電池にも一部採用されているのが、シリコン系やスズ系の負極材料だ。ただし、車載リチウムイオン電池ではまだ実用化されていない。JNCがLITENと車載リチウムイオン電池向けに開発することになったのは、シリコン系の負極材料である。
なおJNCは、車載リチウムイオン電池向けに、正極材料やセパレータも開発している。正極材料はドイツのH.C. Starckと、セパレータは米国のPorous Power Technologiesと、それぞれ共同で開発中だ。今回の負極材料の共同開発により、車載リチウムイオン電池の主要4部材のうち電解液以外の全てを手掛けることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 群雄割拠の車載Liイオン電池
ハイブリッド車や電気自動車など、電動システムを搭載する自動車の市場拡大に合わせて、新たな車載リチウムイオン電池の開発が加速している。本稿ではまず、車載リチウムイオン電池の開発/供給に関する業界動向をまとめる。その上で、国内電機メーカーが車載リチウムイオン電池の性能向上のために行っている取り組みを紹介する。 - 三井金属、車載リチウムイオン二次電池の正極材料生産を約10倍に増産
リチウムイオン二次電池用マンガン系正極材料の生産体制を、月産80トンから1000トンに引き上げる。 - 日本パワーグラファイト、リチウム二次電池向け負極材生産を3倍に
リチウムイオン二次電池用負極材の需要増に対応するため北九州市に年産700トンの新工場を建設し、生産能力を3倍以上に引き上げる。