「ケイ素関連技術からイノベーションを生み出す」、東レ・ダウコーニングが会見:材料技術
東レ・ダウコーニングは、リチウムイオン電池やLED照明などの分野で、同社が得意とするケイ素関連技術を活用した製品開発に注力している。
東レ・ダウコーニングは2012年7月27日、東京都内で会見を開き、現在研究開発に注力している分野について紹介した。同社は、シリコーン材料大手Dow Corningの日本法人であり(出資比率はDow Corning65%、東レ35%)、会長兼CEO(最高経営責任者)を務める桜井恵理子氏は、東レ・ダウコーニングに加えて韓国法人のDow Corning Koreaの事業も統括している。
会見に登壇した桜井氏は、「エネルギーや水、気候変動、都市への人口集中といったメガトレンドに対して、Dow Corningが得意とする、シリコーンの基となるケイ素(シリコン)関連技術から、新たなイノベーションを生み出していきたい」と語る。
同氏は、新たなイノベーションを生み出すべくDow Corningが製品開発に注力している3つの分野を挙げた。1つ目は、再生可能エネルギーと蓄電である。ここでは、太陽電池パネル向けの多結晶シリコンやシリコーン材料と、リチウムイオン電池の高容量化に必要なシリコン系負極材料の開発を進めている。2つ目は、次世代パワー半導体として期待されるSiC(シリコンカーバイド)デバイスの製造に用いるSiCウェーハだ。最後の3つ目になるのが、市場拡大が本格化しているLED照明である。
これらの中で、日本法人の東レ・ダウコーニングが中心になって開発を進めているのが、日本メーカーが有力な技術を持ちグローバルに事業を展開している、リチウムイオン電池やLED照明向けの材料である。加えて、「ハイブリッド車や電気自動車のインバータの保護や放熱に用いる材料にも注力している」(桜井氏)という。
リチウムイオン電池については、山北工場(神奈川県山北町)に電池試作のためのラボを構えるなど、ケイ素系負極材料の量産採用に向けた活動を加速させている。シリコン系負極材料以外にも、正極材料や電解液添加剤にもケイ素関連技術を活用できる可能性があり、研究開発を進めている。
LED照明材料では、既にLEDチップの封止材が一定の規模の事業に育っている。封止材の製品開発は千葉工場(千葉県市原市)に併設されている開発センターが担当している。桜井氏は、「これまでは液晶ディスプレイのバックライト向けの需要が中心だったが、LED照明の市場が拡大すればさらに事業は拡大するだろう」と意気込む。
これらの他、SiCウェーハについては、2012年内に6インチ(直径150mm)ウェーハのサンプル出荷を始める予定が明らかになった。
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