パーソナル3Dプリンタでドロイド君を作ってみた:3次元プリンティングってどうやるの?(1/2 ページ)
13万円のパーソナル3次元プリンタ「Blade-1」で、ABS製のドロイド君を立体出力! 今回は、その成形過程や注意すべきポイントを紹介する。
近頃何かとうわさになっている? パーソナルCNC(Computer Numerical Control)マシン。今回は、その中でも世界中に広がりを見せる「積層型3次元プリンタ」で実際に立体出力する過程をお見せします。
「あーなんか作りたいけど、自分でカッターで切ったりドリルで穴を開けたりするのは嫌だなー。“じゃじゃじゃーん”とか言いながら、勝手に何かの装置から勝手に出来上がってこないかなー」――そう思ったこと、ないですか?
一昔前なら、「そんな物、あるわけない!」と言われたでしょうね。
さらに数年前までなら、「それなら、3次元プリンタあるじゃん」「でも、あれって数百万円もするんでしょ?」って会話が聞こえそうな感じではありました。
ところが現在、「それなら、俺の家にあるよ」「えっ! 3次元プリンタ持ってんの?」「うん♪」――そんな会話が、現実化しつつあるのです。
ここ数年で、十数万円ほどで買える「パーソナル3次元プリンタ」は、ものすごい勢いで進化してきました(ここでは「一般消費者向け」とします)。組み立てキットから完成品まで、さまざまな数十種類のパーソナル3次元プリンタが、世界中のたくさんのベンチャー企業によって製品化されてきました。
今回は、そのうちの1つ、私が開発した3次元プリンタ「Blade-1」(ホットプロシード)の仕様や特徴を織り交ぜて、3次元モデル作成から出力するまでの過程を紹介していきます。
Blade-1とは何ぞや
Blade-1とは、米国のオープンソースプロジェクト「RepRap」から派生した3次元プリンタです。米国シカゴのデザイナー バートン・ドリング(Barton Dring)氏が開発した「MakerSlide」を基にした「ORDbot」に、さらにホットプロシードが改良を加えたものです。造形サイズは、100×100×100mm(縦、横、高さ)。積層ピッチは、0.2〜0.4mm。価格は、13万6500円です。
「安い理由」と、データのお話
3次元プリントするためには、絶対3次元データが必要です。意外と皆さん、データのことには関心がないんですよね……。展示会などでまず聞かれるのは、精度と製作時間です。
確かに、工業用3次元プリンタとパーソナル3次元プリンタでは、精度が一番の比較対象となります。両者の価格差ですが、さて、何が差分として扱われるのでしょうか?
それはやはり、精度と安全率(ここでの安全率は「成形不完全率」とします)ではないかと私は考えます。
「じゃー、ダメじゃん……」なんて言う方もいるかもしれませんが、ここはひとつ、「普通、数百万円する装置が、十数万円ほどで買える」ということで、ちょっと我慢してもらいつつ、“使える範囲”で使っていただければいいのではないでしょうか。
これから紹介するフィギュアの出力工程をご覧いただくことで、「その我慢の甲斐(かい)もありそうだ」と、皆さんに少しでも思っていただければ幸いです。
さて、ここから「データ作り」のお話です。「3次元」というくらいですので、「立体(3次元)データ」がなくては出力できません。3次元データ作成には、主に以下の3つの方法があります。
設計現場で使う、3次元CADソフトで作る
1つ目は、「3次元CADによる作成」です。工業系の設計現場で使う3次元CADを使います。数万円のものからありますが、ミッドレンジといわれるクラスのものは100万円前後します。しかし近頃は、無償のソフトまであります(後述)。
寸法概念をしっかりと定義できるので、工業部品を作成するのには最適です。3次元CADについては、Web上にたくさんの情報があるので、自分の好みや条件に合ったCADを探してみてください。
デザインの現場で使う、3次元CGソフトで作る
2つ目は「3次元CGによる作成」です。よく、アニメーションや3次元ゲームキャラなどを作るために使われます。こちらも価格はCADと同じく数百万から無料までいろいろあります。こちらのソフトは寸法概念はあまり重要視されていなくて、どちらかと言うと、“見た目重視”で3次元データを作成していくツールです。
3次元スキャナで取り込む
3つ目は「3次元スキャナによる作成」です。こちらは最近、テレビなどでよく紹介されているので、「聞いたことがある」という方は、世の中に結構いらっしゃるかもしれません。
「取りあえず存在は知っているけれど、詳しいことはあまり分からない」という方は、MONOistの「お気軽だけど侮れぬ。3次元スキャナで遊んでみた」を読んでいただくとよく分かると思います。この記事のタイトルのように、3次元スキャナは“なかなかのクセ者”です……。
今回は、上記の1番目、「3次元CADを使ったデータ」で立体成形をします。今回は、携帯端末プラットフォーム「Android」のキャラクター、通称「ドロイド君」を作ってみました。
今回の「データ作り」の手段となる3次元CADですが、私自身、使い始めた当初は、操作に慣れるまで大変苦労し、しばらくは「何がどうなっているやら」さっぱり分からなかったものでした……。
それが、何とか使えるようになってくると、「2次元CADを使いたくなくなる」ほどの勢いで、ガンガン設計したくなって、楽しくなってきます。
今回は、オートデスクの無償3次元CAD「Autodesk 123D」(以下、123D)を使ってデータ作成しました。この3次元CADは、無料で使えるにもかかわらず、従来のプロ用3次元CADの機能をほぼ備えており、工業用製品も設計できる優れモノです。
詳しい使い方は、MONOistの記事で既に解説されているので、そちらをご覧いただきながら、ひとまず使ってみてください(以下、関連記事)。
123Dで作成した3次元データは、「Save as」から、拡張子「*.stl」で保存します。
編集部注:123DのモデルをSTLファイルで保存するためには、あらかじめAutodesk IDにログインする必要があります。
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