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車載リチウムイオン電池業界再編の号砲か、NECとGSユアサが提携:電気自動車
NECとGSユアサがリチウムイオン電池事業で提携する。車載リチウムイオン電池の供給で重要な役割を果たしている両社の協業は、業界再編に一石を投じる可能性がある。
NECとジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)は2012年6月6日、リチウムイオン電池事業の協業に関する基本合意書を締結したと発表した。協業の第1弾としては、NECからGSユアサにリチウムイオン電池の電極を供給することが検討されており、同年10月末までに供給開始時期などの具体的な条件を決定する。その後、電極の供給を始めるまでに、リチウムイオン電池を使用した蓄電システムや蓄電事業といった包括的協業の骨子を取りまとめる計画である。
NECは、同社の家庭用蓄電システムや、日産自動車の電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されているラミネート型リチウムイオン電池向けに、マンガン系の正極材料を使用した電極を供給してきた。一方、GSユアサの子会社であるリチウムエナジー ジャパンが三菱自動車のEVに供給しているリチウムイオン電池は、マンガン系の正極材料を使用しているものの、電池の形状は角型である。このためNECは、ラミネート型リチウムイオン電池向けとは別に、GSユアサの仕様に合わせて電極を生産する方針だ。
左の写真は、日産自動車のEV「リーフ」に採用されたラミネート型電池セル。日産自動車とNECが出資するオートモーティブエナジーサプライが生産している。右の写真は、三菱自動車のEV「i-MiEV」の角型電池セル。GSユアサと三菱商事、三菱自動車が出資するリチウムエナジー ジャパンが生産している。(クリックで拡大)
これまでに、車載リチウムイオン電池市場には、多くの企業が参入している。低価格を特徴に韓国や中国のリチウムイオン電池メーカーがシェアを高める一方で、国内のリチウムイオン電池メーカーは厳しい対応を迫られている。NECとGSユアサの提携は、車載リチウムイオン電池業界の現状に一石を投じる可能性がある。
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