ルネサスの「R-Car」が次世代品で車載イーサネットに対応、量産開始は2015年:人とくるまのテクノロジー展2012
ルネサスは、車載向けSoC「R-Carシリーズ」の次世代品に車載イーサネットの制御回路を搭載して、2015年から量産を開始する方針だ。
ルネサス エレクトロニクスは、「人とくるまのテクノロジー展2012」(2012年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、同社の車載向けSoC(System on Chip)「R-Carシリーズ」の次世代品に車載イーサネットの制御回路を搭載する方針を明らかにした。2015年から順次量産を開始する予定である。
車載イーサネットは、駐車時に用いるサラウンドビューシステムや、後席で高画質の映像を楽しむリヤエンターテインメントシステムで、映像信号を伝送するネットワークとして開発が進められている。ルネサスはこれまで、2012年1月の「第4回国際カーエレクトロニクス技術展」などで車載イーサネットに関する技術展示を行っていたが(関連記事)、製品化の時期を示したのは今回が初めて。
展示では、同社が開発した車載イーサネットの制御回路(MAC:Media Access Controller)がさまざまなイーサネット規格に対応することを示すデモンストレーションを行った。2つのタイプのスイッチングハブボードを介して、高画質映像をストリーミング伝送するデモだ。一方のスイッチングハブボードは、Broadcomのイーサネット技術「BroadR-Reach」に対応するスイッチICを搭載したタイプ。BroadR-Reachの特徴である、1ペア接続を実演して見せた(関連記事)。もう一方は、Marvell Technology GroupのスイッチICを搭載したタイプ。このスイッチICは、車載イーサネットのベース規格になっている、Ethernet AVB(IEEE802.1 Audio/Video Bridging)に対応する製品である。今回のデモでは2ペア接続の構成をとった。
ルネサスの車載イーサネットのデモシステム。右側にあるスイッチングハブボードにはBroadcomのスイッチICが、中央にある2個のスイッチングハブボードにはMarvellのスイッチICが搭載されている。(クリックで拡大)
車載イーサネットの標準化団体「OPEN Alliance SIG」が採用しているBroadR-Reachは、1ペア接続で済むこともあって車載イーサネットの主流になるとみられているが、MarvellもEthernet AVBに対応するトランシーバICやスイッチICの車載品を提供している。ルネサスの説明員は、「R-Carシリーズの次世代品に搭載する車載イーサネットのMACは、BroadR-Reachと一般的なEthernet AVBの両方に対応しているので、車載イーサネットを使ったシステムの開発を検討している顧客に安心して採用してもらえるのではないか」と述べている。
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