Teamcenter 9はSystems Engineeringに本格対応、アフターマーケットへの準備も万全に:PLMニュース
PLMソフトウェア「Teamcenter」がメジャーバージョンアップする。導入企業側の負担軽減のためのアーキテクチャ変更やSystems Engineering領域の機能強化が図られている。
米シーメンスPLMソフトウェアは、2012年4月20日、Teamcenter 9を発表した。正式なリリースは米国時間2012年4月24日の予定だが、それに先行して中国国内のユーザーを集めて行われたカンファレンスで事前に公表した。
Teamcenter 9の主要な機能強化は次の通り。
システムズ・エンジニアリング(Systems Engineering)領域の機能拡張
ISO 26262要求などで注目を集めつつある、要件管理や最終製品に至るまでのトレーサビリティ確保を実現するための機能拡張が行われている。具体的にはハードウェア制御系の検証ツールや要件定義ツールとの連携が強化された。
MATLAB/SimulinkやMicrosoft VisioのリボンインタフェースにもTeamcenterへのアクセス用アドインを提供する。また、Teamcenter側からこれらのデータにアクセスして編集することも可能になっている。Teamcenterにこれら他社ベンダーのデータが統合することで、要求管理部分の情報と実際のエレキ・メカ、制御ソフトウェアの図面/モデル定義、検証結果の情報をインタラクティブにひも付けられるようになっている。
Active Workspace シンクライアントでPLM情報にアクセスできるUI
Active Workspaceについては、既に記事で紹介した通りだが、今回の発表では、このUIを仮想デスクトップ的に利用できることが明らかになった。
Active Workspace Active Workspaceでは、BOMの情報もビジュアルな表示になっている。部品データへのアクセスも高速化が図られているという。UIの表示設定はユーザーが簡単に変更でき、バージョンが変わっても継承される。シンクライアント的な利用が可能なので、情報の集中管理が容易になる
Teamcenter Mobility 2.0
モバイル端末からのアクセスについてはTeamcenter Movilityが発表されているが、今回、バージョン2.0が実装されることになった。バージョン2.5の開発も進んでおり、こちらは、問題のレポートなどを端末側からTeamcenterにアップデート可能になるなどの双方向の情報伝達機能の強化やドラッグアンドドロップ操作による直観的な操作が可能になるという。
ドキュメント管理機能の強化
仕様書や品質評価シートなどのドキュメント類をモジュール単位で管理する機能を追加している。これにより、流用設計の場合などでは、関連ドキュメント自体も流用できるようになった。部品やドキュメントの影響範囲も記録されているので、改編時の影響範囲の確認などをシステムで確認できるようになっている。また、航空宇宙分野におけるドキュメント管理の標準であるS1000Dにも対応している。
ドキュメント管理機能が強化されたことで、世界各国向けの製品マニュアルなどの制作も工期短縮が見込める。
ドキュメント管理機能のイメージ 各種文章を構造ごとにモジュールとして保管、必要に応じて組み合わせることができる。例えば、部分的なモデルチェンジ製品では一部情報のみの変更で対応可能なため、出荷までの工期短縮が見込める
サポート・メンテナンス向けの機能拡張はCortona3Dで
上記、モバイル端末対応とドキュメント管理機能、2011年5月に業務提携したCortona3DのRapidAuthorを利用した、サポート部門・メンテナンス部門向けの機能拡充が行われている。Cortona3Dは、3次元CAD図面にも対応したドキュメント管理ツール。
サポート窓口から、特定の部品情報にアクセスし、品質の問題や不具合の報告などをTeamcenter側に直接送信できるだけでなく、端末側でCortona3Dのビュワーを利用した形状確認や、パーツの問題箇所の指摘などが可能になっている。
シーメンスPLMソフトウェア シニアバイスプレジデント兼アジア太平洋地域担当マーケティングディレクターであるKC Yee氏 アジア地域の市場の成長を期待し「(市場をけん引していくような)“未来のヒーロー”は間違いなく、このアジア太平洋地域から生まれると確信している。シーメンスPLMはアジア地域から生まれるであろう新しいヒーローを支援する」と語り、同社にとってのアジア地区の重要性を強調した
シーメンスPLMソフトウェア CEO Chuck Grindstaff氏 Grindstaff氏は、シーメンスPLMソフトウェアが、2011年11月より新たに産業別のアプローチを強化していることに言及。よりきめ細やかに産業別のニーズを拾い上げ、製品テンプレートに反映していくことを明言した。また、JTフォーマットに代表される同社製品の「オープン性」についても、「Teamcenterは他のシステムと連携しやすいのが長所だ。SAPなどの基幹業務システムとの連携を考慮したアーキテクチャになっている。それ故に生産側の情報も容易に分析できる。例えば工場別の生産動向や原価などの情報もTeamcenter側で分析できる利点がある」とその優位性を訴えた
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