IBMの「800km走れる」EV用電池開発プロジェクト、旭化成とセントラル硝子が参加:電気自動車
IBMのリチウム空気電池開発プロジェクトに、リチウムイオン電池の有力部材メーカーである旭化成とセントラル硝子が参加する。
IBMは2012年4月20日(米国時間)、同社のアルマデン研究所(Almaden Institute)で進めているリチウム空気電池の開発プロジェクト「The Battery 500 Project」に、旭化成とセントラル硝子が参加すると発表した。
The Battery 500 Projectは、IBMの基礎研究部門(IBMリサーチ)が2009年6月に立ち上げた、一般的なファミリカーサイズの電気自動車(EV)が1回の充電で約800km走行できるようなリチウム空気電池を開発するためのプロジェクトである。なお、現行のEVは1回の充電で160km程度しか走行できない。
今回参加した旭化成とセントラル硝子はリチウムイオン電池の有力部材メーカーとして知られている。旭化成はセパレータ、セントラル硝子は電解液で高い技術力を有している。The Battery 500 Projectでは、旭化成はセパレータ向けの膜開発技術を生かして、リチウム空気電池の重要な構成要素部品を開発する方針である。一方、セントラル硝子は、電解液の化学的知見を生かして、リチウム空気電池の性能を向上できるような新種の電解液や高性能添加剤の開発を目指すとしている。
リチウム空気電池は、負極の活物質に金属リチウムを、正極活物質に空気中の酸素を使う二次電池である。リチウムは金属の中で最もイオンになりやすいため、負極として用いると、正極との電位差が大きくなり、高い出力電圧が得られる。また、原子の大きさが小さいので、質量あたりの電力容量も大幅に向上できる。さらに、正極の活物質である酸素は空気中のものを使うため電池セルの中に部材として組み込む必要がない。これらの理由から、現行のリチウムイオン電池よりも大幅に出力密度やエネルギー密度を向上できると言われている。
IBMの他、トヨタ自動車も、2008年6月に新設した電池研究部でリチウム空気電池の開発を進めている(関連記事)。
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