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2012年は車載分野に最大注力、国内市場攻略が成長の鍵に車載半導体 Maxim インタビュー

車載分野に注力する方針を表明しているアナログ半導体大手のMaxim Integrated Products。特に、国内の自動車メーカーやティア1サプライヤの取り込みは至上課題となっている。同社の車載半導体事業の担当者に、国内車載市場を攻略するための取り組みについて聞いた。

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 世界でも有数のアナログ半導体メーカーであるMaxim Integrated Products(以下、Maxim)が、車載分野に注力する姿勢を鮮明にしている。2012年3月に東京都内で開いた記者会見では、同社社長兼CEO(最高経営責任者)のTunc Doluca氏が来日し、「2012年に注力する製品分野のトップ項目は車載機器だ」と言明し、国内の自動車メーカーやティア1サプライヤを顧客として積極的に取り込む方針を示した(関連記事)。

 同社はいかにして国内の車載市場を攻略するのか。車載半導体事業を統括するオートモーティブ事業部 マネージング・ダイレクターのKent Robinett氏と、車載二次電池向け製品を担当するバッテリー&インダストリアルパワー事業部 マネージング・ダイレクターのNaveed Majid氏に聞いた。

MaximのKent Robinett氏(右)とNaveed Majid氏
MaximのKent Robinett氏(右)とNaveed Majid氏

MONOist Maximのこれまでの車載分野における事業展開について教えてください。

Robinett氏 当社が車載分野に対する本格的な事業展開を始めたのは2005年のことになります。それまでにも、当社のアナログICが車載機器に採用されている事例がなかったわけではありませんが、車載機器向けに製品開発をするようになったのが2005年なのです。当初は、衛星ラジオ用のチューナICや電源ICを中心に製品を展開していましたが、これまでに製品ラインアップを着実に拡大させています。2011年の全社売上高である約25億米ドルのうち、約5%を車載機器向け製品が占めるようになりました。

MONOist 3月の会見で社長兼CEOのDoluca氏は、2012年に注力する製品分野のトップ項目として車載機器を挙げています。具体的にはどういった車載機器に注力するのでしょうか。

Robinett氏 大まかに分けると、カーナビゲーションシステムやカーオーディオなどの車載情報機器、ヘッドランプや車室内照明システム、キーレスエントリシステムなどのボディ電子システム、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されている二次電池の監視システムの3つになります。これら3つの領域で車載機器向け製品の売上げを伸ばして、将来的には全売上高に占める比率を現在の2倍の10%まで高めたいと考えています。なお、自動車の走る、曲がる、止まるといった、いわゆる制御系システムは注力対象にはしていません。

MONOist 車載半導体事業の拡大に向けて、国内の自動車メーカーやティア1サプライヤに対して積極的にアプローチする方針を示していますが、これはなぜですか。

Robinett氏 先述した3つの領域のうち車載情報機器と二次電池については、数多くの国内メーカーが技術と規模の両面で世界市場をけん引しています。これらの企業を顧客として取り込むことこそが、当社の車載半導体事業を成長させる上で最も重要だと言っても過言ではないでしょう。

MONOist 国内の自動車メーカーやティア1サプライヤは、納期や品質、不具合対応などについての要求が厳しいことでも知られています。Maximではどのように対応していますか。

Robinett氏 2007年から、米国本社と同様に、日本法人のマキシム・ジャパン内にも車載分野を専任とする部署を設置しました。この部署は、米国本社の納期、品質、不具合対応の部署と直結しているので、国内顧客の要求に対して迅速に対応できます。また、私が所属するオートモーティブ事業部に日本人のビジネスマネージャーが常駐しているので、米国本社と日本法人の連携による高いレベルの顧客対応も可能になっています。

MONOist 二次電池の監視システムに使う電池監視ICですが、10社以上の半導体メーカーが参入していて激しく競合しています。Maximの電池監視ICの特徴について教えてください。

Majid氏 当社は携帯電話機やPC向けの電池保護ICを国内の二次電池メーカーに供給しており、信頼関係も構築してきました。最近では、これらの二次電池メーカーは、EVやHEV向けのリチウムイオン電池の開発に注力しており、そこで必要になる電池監視ICについても当社の製品は検討対象になっています。現在は、当社の「MAX11068」のように1個のICで複数個の電池セルの電圧を測定できる高集積の電池監視ICが主流になっていますが、それ以前に個別部品のアナログICを使って電圧監視回路を構築していたHEVには、当社の製品が採用されていました。

 当社の電池監視ICの特徴は、過酷なノイズ環境下でも電圧の測定精度が高いことです。2010年8月に発表したMAX11068は±5mVという電圧測定精度を実現していましたが、2012年1〜3月期に量産を開始した第2世代品の「MAX17830」は±2mVまで向上させました。MAX17830は、既に複数のEVやHEVのデザインウィンを獲得してします。

 2012年4〜6月期からサンプル出荷を始める第3世代品の「MAX17823」では、複数の電池監視ICをディジーチェーン接続する際のインタフェースを、MAX17830までのSMBusから、よりノイズ耐性が高い差動インタフェースに変更します。併せて、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に準拠可能な製品に仕上げる予定です。

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